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6Kyushu University Campus Magazine_2010.11があまり知られていないんです。もったいないことですね。でも、今では少しずつ変わってきています。大きな大会に九大出身者も多く招かれるようになりました。だから、皆さんもどんどん後に続いてほしいですね。思いきって飛び込めば、得られるものがきっとあるーー近年、歯科の分野で大きく進歩したことは何でしょうか。水上 インプラントの技術は大きく進歩しました。きちんと治療すれば、97~98%くらいの成功率です。でも、私が著しく変わったなと思うのは接着技術です。審美歯科治療もこの10年ですごい進化を遂げていますが、それを支えているものの一つが接着技術です。マテリアルの分野ですが、歯の表面に強力にくっついてくる材料が、日々、進歩してできています。コンタクトレンズのようなラミネートを貼って綺麗なラインを作るんですが、本物の歯とほとんど見分けが付かなくなってきています。芸能人の歯がきれいなのも、この技術のおかげですよ。ーーこれからどんな分野が進歩していくと考えられていますか。水上 インプラントに関して言えば、今は、骨が欠損しているような難症例では、骨を再生させてから入れますが、次世代のインプラントでは、インプラント自体が骨を呼び寄せるようになるだろうと言われています。それから、接着材や金属など、新しい材料もどんどん開発されるでしょう。新しい技術が出てきた時、それを受け入れるには、私たちも階段をはなくて、互いに学び合う気持ちです。海外との交流も大切にして、学び合える仲間を作る。それが、最終的に自分の大きな力になると思います。ーー最後に九州大学の後輩にメッセージをお願いします。水上 現代は、情報がすぐに手に入ります。私が若いころは、まだいろんなことがわかっていなくて、皆、試行錯誤しながら一生懸命にやってきました。そして皆がやってきたことがあちこちで発表されて、今ではほとんどの答えがわかっていますし、ハウトゥーができあがっています。だから、やる気さえあればいろんなことがいくらでも学べます。私たちが若い頃に苦労して掴んだ答えが今はすぐ目の前にあるなんて、うらやましいし、やる気のある若い人にとっては本当に幸せな時代ですね。だから、外に出ていくことをおっくうがらずに、情報を発信している場所にどんどん飛び込んでいってほしいんです。その方がきっと良い仕事ができるはずです。(このインタビューは、平成22年8月25日水上歯科クリニックで行いました。)インタビューシリーズ・九大人 水上 哲也上っていなければなりません。ちゃんと階段を上っていれば、そこから一歩踏み出せば新しいものにも手が届きます。そうでなければ、ジャンプしても手が届かないでしょう。だから私たちも常に自分を高めておくことが必要なんです。ーー先生は国際的な大会などにも参加されていますが、日本の歯科技術はどうなんでしょうか。水上 日本の歯科技術は進んでいて、例えば十数年前まで、日本と韓国にはかなりのレベルの差がありました。けれども、ここ数年の間に変わらなくなってきています。むしろ、韓国が一歩リードしている感じです。さらに、台湾も日本に並んできています。韓国や台湾の学生はモチベーションが本当に高いですね。どん欲に勉強しています。新しい材料も、韓国からどんどん出ています。日本で新しい材料を作ってもなかなか認可されないため、他の国に先を越されているという制度上の問題もあるんですけどね。リードしていた日本が逆転されている現状はやはり寂しいです。けれども、大事なことは、競争して勝った負けたで近年の水上先生著書『インプラントイマジネーション』『インプラント治療は チームアプローチ』

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