http://www.kyushu-u.ac.jp-kyudaikoho_73
17/40

16Kyushu University Campus Magazine_2011.1常識という型にはまったボックスから飛び出してほしい インタビューシリーズ・九大人 松尾 正人カリフォルニアを拠点に、様々な活動を推進ーー九州大学のカリフォルニアオフィスの活動についてお聞かせいただけますか。松尾 私は30年余り、化学会社の駐在員として、ずっと日本から来る出張者の面倒を見てきました。その経験から、日本の若い人たちにぜひ身に付けてもらいたい能力・素養が見えてきました。一つは言うまでもなく、英語能力です。二つ目は自分で考えて行動する自立性・積極性。日本人は、大学に入学した後は、自分で何をしたいかを決める機会がないまま就職していくようです。対して、アメリカの学生は、入学時に学科さえ決まっていないことが多く、様々な科目を自分で選びながら、進路を決めます。その課程で自立心や積極性を養い大人になっていくように見えます。三つ目は、異文化理解力。単一民族の日本人は、異なる文化や人を理解するのは苦手です。そのほか、日本人であるのに、日本のことをあまり知らないこと、祖国愛が乏しいこと、ビジネス感覚やリーダーシップ意識が十分ではないことなどが挙げられます。 カリフォルニアオフィスでは、このような今の日本の若者に足りない能力や素養を強化するプログラムを企画し実行しています。現在、推進しているプロジェクトは大きく3つ。遠隔授業、英語研修、そしてシリコンバレー研修(QREP)です。合言葉は「迷ったらGO!」チャレンジすることが大事ーー遠隔授業は、どのようなことをされているのですか。松尾 前期が「九大生よビジネスを学ぼう」でそれぞれの分野の専門家に会社での仕事内容やビジネス感覚について語ってもらい、後期は「九大生よリーダーになろう」というテーマで、色々な立場の方にリーダシップ論を語ってもらっています。シリコンバレーからインターネットを使った講義ですが、過去4年間で約600名の学生が受講しました。ーー英語研修はどのような研修ですか。松尾 一般学生用のシリコンバレー英語研修(SVEP)と、若手研究者用の英語研修(YREP)を実施しています。いずれも、サンノゼ州立大学で4週間、全員ホームステイをすることが特徴です。英語でネゴシエーションしないと食べたいものも食べられないという環境を作ります。しかも、英語だけではなく、初めて外から日本や自分を見る機会に置かれるので、周りをよく見て考えるよう指導しています。そんな生活を通して、学生は様々なことに気づき、学び、経験し、考え、大きく変化していくようです。ーー研究者向けのYREPはどのような授業をされているのですか。松尾 YREPは、博士課程の大学院生を対象にしている特別なプログラムです。国際学会でのプレゼンテ九州大学カリフォルニアオフィス(サンノゼ市)Oracle訪問のQREP学生50人集まった福岡でのSVEP同窓会にて

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です