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18Kyushu University Campus Magazine_2011.1あったんです。この使い道を見つけろという課題を会社から与えられましてね。全くゼロから始めましたが、研究者時代に、何もない所から大きな発見をしてきた経験があったので、今回も何とかなる気がしていました。幸い10年程走り回って、いくつかの優れた技術を見つけることができました。その技術を取入れてゼオンはDCPDを使った新しい事業を始めました。このときに日本側で受け手となって次々に事業化を成功させたのが網村美義元専務です。彼なしではうまく事業化が進まなかったと思いますよ。これらは今でも日本ゼオンの主力事業になっています。このことで、私もかなり自信がつきました。専門知識だけでなく、 幅広い知識と経験が必要。ーーその後、一時日本に戻られていますよね。松尾 ええ。50歳代後半で、日本に戻って来いと当時の中野克彦社長に言われまして、6年間、日本で仕事をしました。そのうちの4年間は、研究開発本部長という立場で研究の陣頭指揮を執り、大変良い経験をさせてもらいました。また、その時、企業側の立場で初めて九大生を見ることになりました。当時の九大生は、技術的にとても良いものを持っていましたが、人付き合いは決して良いとは言えなかった。技術のことしか考えてないから他の部門では使ボックスから飛び出すことを考えてほしい。英語のスキルは、絶対必要です。日本の企業はどんどん世界に進出しています。これからは、英語ができないでは通りません。あなたの競争相手はもはや隣にいる日本人ではなく世界のどこかにいることを知ってほしいですね。それから、起こった事象に対して、自分の意見をしっかり持ち、それを表現できる見識を持つことです。誰かが言ったことではなく、自分の頭で考えた、自分の意見を持ってほしいのです。 最後になりますが、人との出会いを大事にしてほしいと思います。私の人生は話の中で名前を挙げた方々と出会わなければ、全く違うものになっていたでしょう。この機会に心からお礼を申し上げさせてください。インタビューシリーズ・九大人 松尾 正人えないのではないかと心配しました。そんな人を、アメリカではI(アイ)人間と呼びます。でも、今、必要とされているのは、縦の軸となる専門的な知識と共に横の軸となる幅広い知識や経験を持ったT(ティ)人間なんです。ーー九州大学の総長アドバイザリー会議委員や、カリフォルニアオフィスの所長を引き受けられたのは、その後、アメリカに戻られてのことですか。松尾 そうです。梶山千里前総長から頼まれましてね。彼は研究室の後輩で毎日一緒に研究した仲間です。話が来た時、これはグッドチャンスだ、九大の学生に私がこれまで思っていたことを伝えようと思いました。それで、様々なプロジェクトを始めた訳です。競争相手は世界にいる。 隣にいる日本人ではない。ーー最後に九州大学の学生にメッセージをお願いします。松尾 私に言わせると日本全体がボックスに入っているように見えます。まず、九大とか日本とかいう九州大学では学生の皆様が海外で学べるプログラムを多数用意しています。詳細については、九大生のための留学情報Webページをご覧ください。http://www.isc.kyushu-u.ac.jp/intlweb/study/index.htm

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