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23Kyushu University Campus Magazine_2011.1新しき挑戦者たち井手 竜也さん新種のタマバチを発見。米国・昆虫学会誌で発表 2010年、九州大学・伊都キャンパスの「生物多様性保全ゾーン」で新種のタマバチが発見されました。 発見したのは、比較社会文化研究院の阿部芳久教授の共同研究グループ。その中心となって研究を進めたのが、比較社会文化学府修士課程2年の井手竜也さんです。井手さんがまとめた論文は、権威あるアメリカの昆虫学会誌で発表されました。 タマバチは、体長5ミリ以下の小さなハチで、植物に「虫こぶ」を作るのが特徴です。これまで、落葉性のコナラ亜属の植物を寄主とする多くの種が、アメリカやヨーロッパから、少数の種がアジアから知られていました。しかし、今回、井手さんたちが発見した新種のタマバチは、常緑性のアカガシ亜属を寄主としています。アカガシ亜属はアジアだけに分布する植物であり、今回の発見は、今後、アジア地域のタマバチの研究に寄与するものと考えられています。タマバチの生態に魅せられて本学の阿部教授に師事。 井手さんは、宮崎大学でコナガの研究をしていましたが、タマバチの生態のおもしろさに惹かれ、本学の比較社会文化学府へ進学。阿部教授の下で指導を受けています。 新種のタマバチの論文を書き上げたのは修士2年の春。約1年という短い期間で研究成果を出しましたが、それまでの苦労も多かったとのこと。 「ハチが出てくる寸前の虫こぶを採取し、その成虫を羽化させ、新種のハチを得ようとしたのですが、虫こぶを採取する時期が早過ぎても遅すぎてもいけないし、採取しても虫こぶの湿度管理が難しいことなどから、なかなか目的のハチを得られませんでした」共同研究で確実性を高め、効率的に研究を進める。 そんな井手さんを支えたのが、同じ共同研究グループに所属する和智仲是さんです。和智さんは、博士課程一貫制の4年生。システム生命科学府に籍を置きながら、阿部教授の下で研究を進めています。 学部で、全く違う研究をしていた井手さんは、大学院に進んだ当初は、基礎的な知識の習得から始めなければなりませんでした。そんな井手さTatsuya Ide 05九州大学で学び、目指す分野を究めようとする次世代のプロフェッショナルを紹介します。今回は、伊都キャンパスの「生物多様性保全ゾーン」に生息するタマバチの一種が新種であることを発見し、2010年11月、アメリカの権威ある昆虫学会誌で論文を発表した若手研究者にお話を伺います。比較社会文化学府修士課程 2年求心が、を生んだ。井手達也さん(左)と和智仲是さん(右)

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