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24Kyushu University Campus Magazine_2011.1比較社会文化研究院研究への決意は固くとても真摯。んにとって、和智さんの存在は大きかったと言います。 また、タマバチと一口に言っても、1000種以上のハチを分類するのは大変です。井手さんたちは、個人の研究を得意分野に絞り込み、お互いの成果を擦り合わせながら、効率的に研究を進めていきました。 「同じ虫を研究している仲間で意見を出し合うので、確実性も高まります。共同研究のメリットが成果につながったんだと思います」地道な研究作業も、好きだから続けられる。 今後は、コナラ亜属に虫こぶを作るタマバチも研究し、アジア全体のタマバチの研究を深めたいと話す井手さん。 「研究は地道な作業が多いです。それでも続けられるのは、好きな昆虫を追いかけているから。だから、皆さんも漠然とでも興味を持つものがあれば、チャレンジすべきです。それが大きな発見につながることもあると思います」 新種のタマバチは学名を「プラギオトロクス マスダイ」と命名。 井手さんたちの研究は、この学名と共に記録され、100年、200年先の研究者の礎となるでしょう。 今後もさらなる飛躍が期待されます。井手くんは宮崎大学の出身、和智くんも他の学府に所属しながら私の研究室に来てくれているので、2人ともタマバチの研究への決意が固く、姿勢も真摯です。それが新種の発見という大きな成果に結びついたと思っています。論文や学会発表用のスライドなど、厳しく指導していますがめげません。打たれ強いですね(笑)。でも、これは研究者として重要な資質です。権威ある雑誌などで論文を発表するために投稿すると、世界中の専門担当教授より井手竜也さんDATA■九州大学の関連WEBサイトへ九州大学 比較社会Gohttp://www.scs.kyusyu-u.ac.jp/長崎県立長崎西高等学校 ↓宮崎大学 農学部 ↓九州大学大学院比較社会文化学府 修士課程小さい頃から昆虫はもちろん生き物が大好きだったという井手さん。高校時代は生物部に在籍。その時、先生から昆虫について教えてもらったことが現在の道に進むきっかけになりました。今回の研究を修士論文にまとめることが目下の目標とのこと。memo阿部 芳久教授あべ よしひさ家が査読するので、かなりシビアなコメントが返ってきます。それにめげていては、研究者としてやっていけませんから。今までアカガシ亜属に虫こぶを作るハチは命名されたり記載されたりしていなかったので、今回の研究に刺激を受けて、今後、アジアに潜在的に生息しているタマバチが明らかにされていくのではないかと思っています。今後も幅広い分野の知識を身に付けて、国際的に評価される論文を発表していってほしいですね。■次回出演リレー薬学府 修士課程2年土井洋平さんですNEXT Professionalあくなき追新種の発見インドでの採集マスダアラカシタマバチ実体顕微鏡写真マスダアラカシタマバチ電子顕微鏡写真※「虫こぶ」とは、昆虫の刺激によって植物の一部が膨らんだ構造のこと。「ゴール」と呼ばれる。マスダアラカシタマバチ(単性世代)マスダアラカシタマバチの虫こぶ(単性世代)

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