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6Kyushu University Campus Magazine_2011.1同研究はありますが、そのときも立場は対等です。倉地 文部科学省へのWPIの申請の際、このプログラムをきっかけとして日本の大学の教育・研究風土を改革すると訴えてこられました。I2CNERをどうやって運営していこうとお考えですか。ソフロニス ここでは特に二つのことを申し上げたいと思います。まず、I2CNERは、常に最高の研究品質を維持するよう努めます。そのためには、毎年、外部アドバイザリー委員会の厳しいチェックを受けることとします。各方面の、国際的に権威のある方々から成る委員会です。この方々に来ていただき、私たちのパフォーマンスをチェックしていただきます。もう一つは、学生がプレゼンを行うセミナーを日常的に採り入れます。これも米国ではごく当たり前に行われていることです。大学院生が、他の学生や教授の前で、自分の研究についてプレゼンを行うのです。プレゼンをする学生とそれに質問する学生。これによりディベートの文化が育つでしょう。学生達には、私たちに挑んできてほしいと思っています。自由な発想を育んでほしいのです。なぜなら、彼らは次の世代を担う研究者だからです。「ディベート」。これが、これまで私が九大の学生を見てきて不足していると感じるものであり、これからのキーワードの一つになると思っています。倉地 I2CNERの運営には、ソフロニス所長に大幅な裁量が与えられています。それがきっかけとなり、九大の他の部門にも良い刺激を与えることとなることを望んでいます。倉地 その通りだと思います。I2CNERは、日米両政府、そして産業界からも支援を受けています。きっと成功すると信じています。エネルギー問題の解決に向けて、研究所の成功をお祈りしています。ソフロニス ありがとうございます。これから世界中を回り、九大の伊都キャンパスのI2CNERで新たなことが始まると宣伝していきます。この研究所が、学術面、そして社会に対する貢献という両方の面で成功するよう最大限の努力をいたします。(このインタビューは、平成22年12月9日に行われました。)I2CNERの研究者達へのインセンティブとして、どのようなことが考えられますか。 ソフロニス 研究者に対する研究費や報酬の配分は重要なポイントの一つだと思います。まずは研究リソースについてです。研究リソースはPI(Principal Investigators:主任研究者)全員に平等に配分されるわけではありません。皆に平等に与えられるほど十分なリソースはないのです。もう一つは給与です。研究者の給与も、研究所の活動や貢献の度合いに見合ったものになるでしょう。一律の体系とはいたしません。倉地 そのためには、研究成果の評価は、相当厳しい基準に基づいて行われなければなりませんね。そうでなければ、大きな資金が無駄になってしまいます。ソフロニス そうなると大問題ですね。アカデミック界に自己満足や停滞を引き起こすかもしれません。我々は停滞を望みません。我々が望むのは活力です。それが本研究所の目的です。特集 知の世界的拠点大学へ特別対談 ペトロス・ソフロニス×倉地幸徳I2CNERオープニングセレモニーにて

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