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15Kyushu University Campus Magazine_2011.3術になると思います。例えばロボット。工場の中では普通に使われていますが、現実社会に持って来ようとするとうまく行きません。それは、昼と夜の明るさが違うため、同じ物を見ても時間帯によっては全く違って見えるためです。だから昼間は動いても暗くなったら動かないということが起きます。しかし「線集中度」の手法が完成すれば明暗に関係なく動くと思いますよ。CGの技術を応用した計算法で特許を取得。園田 先生は2010年に「線集中度の高速計算法」で特許を取得されていますね。吉永 はい。「ベクトル集中度蓄積法」というものです。線集中度は、ベクトルが集中している状態かどうか、一つずつ色を取りだしてパレットの上で色を混ぜて点を描くような手法で調べていました。しかし、この方法は面倒でとても時間がかかりました。それを、ベクトルと対応するスタンプをキャンパスに押しながら描いていくような手法に変えたのです。これによって数分かかっていた計算処理が1秒もかからないくらい速くなりました。この手法はCGでよく使われていて、さらにCGの高速化技術を利用できれば、より実用的になると思います。研究は思うようにいかない。でも、挑戦することが楽しい。園田 先生は、子どもの頃から画像系に興味を持たれていたのですか。吉永 小学校の頃からコンピュータは触っていましたが、画像に興味を持ったのは高校になってからです。当時、シャープからテレビ画面をコンピュータに取り込む機械が発売されましてね。画像加工処理ができるプログラムがソースコードと一緒に付いていました。アニメの絵などいろいろと取り込んで試してみましたが、思うような加工ができなかったんです。なぜできないのか疑問を残したまま大学に進学したのですが、大学に画像を扱う研究室がありその疑問に取り組むことになったのです。園田 その頃から研究者を目指していらしたのですか。吉永 いいえ。あまり考えていませんでした。研究がなかなか思うように進まず、研究者として続けるのは難しいと感じて、修士を出た段階で企業に就職しました。でも、いくつか評価された研究もあったので、本当にここで止めてしまっていいのかと、半年程して考えるようになったんです。そして、うまくいかなくても挑戦することが楽しいんだということに気付いて、一年でドクターに戻りました。医学と工学の分野が歩み寄れる技術を提供するのが私の役割。園田 本学に赴任されたのはどのような理由からですか。吉永 芸術と工学の融合で何か新しいブレークスルーがあるのではないかという期待がありました。園田 芸術工学院のどのようなところが魅力だと思われますか。従来の線集中度の計算概念ベクトル集中度蓄積法で高速化した線集中度の計算概念

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