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13Kyushu University Campus Magazine_2011.5新しき挑戦者たち07九州大学で学び、目指す分野を究めようとする次世代のプロフェッショナルを紹介します。今回は、九州大学大学院法学府国際コースの博士課程を修了し、現在、日本学術振興会の外国人特別研究員として、国際私法に関する研究を進められている東欧・リトアニア出身の若手研究者にお話を伺います。ユルチス・ポールさん九州大学大学院法学府 博士(法学) 日本学術振興会 外国人特別研究員国際シンポジウムでの発表を権威ある教授が絶賛。 九州大学大学院法学府は、授業・論文執筆の全てを英語で行う法学修士課程(LL.M.)と、博士課程(LL.D.)を開設しています。所属する学生は、毎年、法学府が主催する国際シンポジウムに参加。テーマ設定や講演者選定に積極的に関わり、博士課程学生たちの一部は研究発表を行っています。 今回、ご紹介するユルチス・ポールさんは、2010年のシンポジウムで研究発表した一人です。 テーマは「国際私法の観点から見た知的財産法の現代的課題」。 グローバル化が進んだ現代では、世界で同時発生的に知的財産権侵害が起こりうる状況にあります。そのようななかで、国際的な取引において発生する問題をどのように解決すべきなのかということを研究し、発表したものでした。その発表は、基調講演に招かれていたオーストラリア国立大学教授、ピーター・ドラホス氏に絶賛されました。シンポジウムに参加して、研究の視野が広まった。 このシンポジウムの大きな特徴は、単純に学生の研究テーマを並べて発表するのではなく、各テーマを横断的に捉える学問的方法論を設定していることにあります。2010年のシンポジウムでは、「制度論」を、そのような「横櫛」に据えました。 「制度論という研究方法論を横櫛に刺すことで、一見統一感がないように感じられるテーマにまとまりが出るし、様々な事象に通底する普遍的な問題も見えてきます。僕も考え方が大きく変わりました。現在は、知的財産法といった具体的な法領域を素材に検討した内容をベースに、国際私法の制度論的な研究に大きくシフトしています。シンポジウムでの発表は大変なことも多かったけれど、得るものも多く、良い経験ができたと思います。」日本人は空気を読む。それが、なかなか理解できなかった。 ポールさんが東欧・リトアニアから来日したのは4年前。それまでにヨーロッパの様々な国を訪れていたことから、ヨーロッパとは違う文化を学びたいと日本への留学を希望しました。 「来日した時、日本語はあまり話せ世界のたい。

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