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6Kyushu University Campus Magazine_2011.5ためには、わかりやすい言葉で話すことが大切です。言ってみれば小学生にでもわかるようにという感じでしょうか。それから、絶対に嘘をつかないこと。そして自分を飾らないで誠意を持って仕事をすること。もう一つ言えば、私はいつも「誰のために仕事をしているのか」と、自分に問いかけながら仕事をしています。常に、聴いている人、見ている人のことを思って、気持ちを込めて語りかけるということですね。人間ですから、心と身体がいつも万全な状態で本番に臨めるわけではありません。でも、それは視聴者の皆さんには関係ないことです。自分が落ち込んでいたとしても、番組では、視聴者の皆さんに元気をあげられるような放送をすること。これがプロだと思っています。カメラの向こうにいる人のことを思って仕事をすれば、きっといい仕事ができているものなんですよ。ーー毎週月曜から金曜日まで、毎日気象情報を担当されていますが、精神的にも体力的にもモチベーションを維持し続けるのは大変じゃないですか。龍山 そのためにも私は、新しいものを常に取り入れるようにしています。例えば、花言葉や旧暦など。「桃初笑(ももはじめてわらう)」という言葉があるのですが、これは、桃の花のつぼみが開きかける頃という意味で、「二十四節気七十二候(※)」の言葉の一つです。普段触れることのない言葉ですが、時候を説明するのに取り入れています。最近は、釜山とソウルの天気予報も紹介しているんですよ。これも他局にはない試みです。また、気象は毎日違います。昨日と同じということはありません。常に新しいから飽きないのかもしれません。ーーそういう意味では、アナウンサーのお仕事は幅広い知識が必要だと思うのですが、どのようにして情報を得られているのですか。龍山 例えば天気予報は、低気圧がどうだとかばかり言っててもおもしろくないでしょう。星や花や鳥だとか、そういったことも含めて紹介することで、楽しく見てもらえるんじゃないかと思うんです。そうすると、自然に関するいろいろな知識が必要になりますし、ひとつひとつのことを調べていたら時間が足りません。そこで私は、それぞれに詳しいインタビューシリーズ・九大人 龍山 康朗 専門家の方々と仲良くなって、いろいろと教えてもらうようにしています。花のことならAさん、魚のことならBさんといった具合です。また、他局の天気予報も全部見ています。そこで得られる情報も大きいですよ。自分が気付かないことや、違う考え方を知ることができ、それをまたステップにして、より良い放送を作り上げます。そして、私が一番重きを置いているのは、「現場に行くこと」です。その場所に行かないと分からないことがたくさんあるんです。自分自身で様々な場所に出かけて、直接体験し取材してこそ、視聴者や聴取者の皆さんにきちんと情報を伝えられるのだと確信しています。ーー最後に九州大学の後輩たちにメッセージをお願いします。龍山 今の時間を大切にしてください。大学生は、ボランティアをしたり、海外留学をしたり、バイクで日本一周をしたり、自分で自由に行動できるのがいいところです。社会人になったら休みも取りにくいし、自由な時間もなかなかとれません。だから、今の時間を有効に使ってほしいですね。それと、体力をしっかりつけておくこと。好きな仕事をするためには健康が一番です。ぜひ、今しかできないことにチャレンジして、有意義な時間を過ごしてほしいと思います。※二十四節気七十二候季節を表すのに用いる中国伝来の言葉。その季節に応じた自然の特徴が示されている。

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