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7Kyushu University Campus Magazine_2011.5 本日、学位記授与式が、厳粛な中にも滞りなく挙行され、皆さんがそれぞれ学位記を受けられたことを大変嬉しく思います。 また、ご両親をはじめ、ご親族の皆様方におかれましては、長年お育てになられ、ともにご苦労なされたお子様の晴れの旅立ちの日であり、お喜びもいかばかりかと思います。また、4年あるいは6年の間、卒業生をご指導いただきました教職員の皆様方にも、あらためて敬意を表します。 私は、昭和28年に新制九州大学の第一回の卒業生として卒業いたしました。本日ご卒業の皆さんは、九州大学創立百周年という極めて大きな節目の年に卒業されるわけですが、このことは、将来においてきっと皆さん方のアイデンティティーとなるものと思います。一方で、今年になって東北地方太平洋沖地震、そして原子力発電所の事故という悲しいできごとも起こりました。今回の災害についての報道を見るにつけ、このように発達した先進国家でも、一回の地震と津波によってこのような状況になりうるのだということをまざまざと思い知らされました。20世紀は、人類の歴史の中でも、科学的に大きな進歩があった時代です。20世紀の初頭、1901年に、当時のある新聞が20世紀の終わりの頃に人類はどのような生活をしているかを予想した記事を書いておりました。地球の表と裏側で、男女が電話で恋心を語り合っているだろうし、冷暖房完備の葉巻型の列車が東京大阪間を2時間半で走るだろう。また、茶の間のテレビで戦場の様子を見ることとなるだろうといったことが書いてありました。今思えば、まったくそのとおり、いやそれ以上のことが起こっています。けれども、台風が来たら、大きな大砲で吹き飛ばすようになるという予想は、今だに実現していません。また、地震についても、きちんとした対策がなされていて、ほとんど被害はなくなっているだろうという予想荒巻 禎一京都府公立大学法人理事長、京都文化財団理事長、元京都府知事平成二十二年度 学士学位記授与式 来賓祝辞 (要旨)あらまき ていいち(昭和28年 法学部卒)

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