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ろな仕事に携わっていきたいと思っています。現在も、設計している対象や場所は様々ですが、私は建築と他領域、福岡とそれ以外の地域、日本と他国の「掛け橋」のような存在として仕事をするミッションを与えられたと思っています。また、仕事というものは、自分の弱点や未熟さを教えてくれる存在です。逃げずに向かい合えば、実に様々なことを学びとることができます。そのことをこれからも忘れずに、新しいことに向き合っていきたいと思っています。ー最後に後輩である九州大学の学生に望まれることは何でしょうか。松岡 現在、福岡市の人口は150万人ほどですが、社会的な循環や、人と人とのつながりを築く取り組みには、この都市はとてもよいスケールを持っていると思います。自然環境と都市の利便性をどちらも享受できる広さでもあります。現在、東京の一極集中を変えようという動きがありますが、次の国土ビジョンはなかなか描けていません。でも、福岡には高いポテンシャルがあると思います。福岡をはじめ九州の各県が、お互いに長所を伸ばしあって豊かな地域となること、日本の素晴らしさを世界へ表現する一つのアイランドとして発展すること。それが、これからの福岡・九州の責務であるように思います。九州大学は、それを支える人材を輩出してほしいですね。学生の皆さんは、自分の専門に閉じこもらずに、いろいろな領域と交わりながら活躍の場を広げてください。勉強でも仕事でも、目標より結果が上回ることはめったにありません。だからこそ、自分自身でハードルを下げないこと。低くしたハードルを飛んでも意味はないと思います。そして粘り強くあること。一つひとつの物事に深く真摯に向き合って、成長していってほしいと思います。ましたが、学生の成長の速さには驚かされます。若さとは素晴らしいですね。初めはゼミの内容が全くわからなかった学生も、たった一年で私の考えていることを概ね理解し、研究だけでなく様々なことにチャレンジするようになります。『MAT fukuoka』のイベントができたのも、私の考えを共有している研究室の学生たちのおかげです。九大の学生もたくさん参加してくれたんですよ。1年目は思い出したくないくらい大変でしたが、このイベントを通して学生たちに企画力やコミュニケーション力などが身に付き、イベントの後、顔つきがまったく変わっているのを見るとやってよかったと思いました。MATの目的は、市民に建築というものがどう面白いのか、その魅力を身近に知っていただきたいという思いからでした。そして福岡に優れた建築を育む土壌が育ち、建築やデザインを志す人が集まってくるようになってくれればと思っています。建築が人や街を育てていく仕組みを、MATを通して今も思考中です。ー今後のお仕事の展開はどのようにお考えですか。松岡 これからも福岡を拠点に、けれども福岡に閉じることなくいろいこれからの時代、一人の人間がいろいろな視点を持つことがますます大切になる。専門に閉じこもらず、活躍の場を広げてほしい。シリーズインタビュー/松岡 恭子九大人16 Kyushu University Campus Magazine_2012.5

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