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図8には、風洞実験(スモークワイヤー法)で撮影された縮尺模型周辺の気流の様子(可視化写真)を示します。この写真から、風がグリーンコリドーを吹き抜ける様子や、建物前面に衝突する様子が観察されました。 第一工区を対象とした数値シミュレーションの結果に関して、南の風を対象にした結果のみを示します(図9)。図9(a)に示す流線図では、建物前面での流れの衝突やグリーンコリドーを吹き抜ける流れパターンが明確に観察されます。図9(b)の風速比に注目すると、グリーンコリドー付近では、流入風速を越える増速域(強風域)は出現していないことが分かります。 図9(a)の実線を含む鉛直断面内の時間平均場に関して、速度ベクトル図と流線図を図10に示します。高層建物の前面で流れが衝突し、渦領域が形成されています(図中のA)。但し、この渦領域内の風速はそれほど大きくありません。一方、高層建物を越える流れ(図中の点線)も明確に観察されます。ここでは、局所的な増速が生じていて、これを有効に利用すると、高層建物屋上での風力発電も可能になります。 数値計算と風洞実験において、主流方向速度の鉛直プロファイルの比較を図11に示します。ここでは、グリーンコリドー付近の2点(図中のB、 C点)のみの結果を示します。計算結果と風洞実験では良好な一致が得られました。このグラフからも、グリーンコリドーでは流入風速を越える強風域は発生しないことが示されました。図8 風洞実験(スモークワイヤー法)による 地面近傍の可視化、南の風、地上約2mKyushu University Campus Magazine_2012.7 21図10に示す鉛直断面大主流風速小A図9 数値シミュレーションによる地面近傍の可視化、時間平均場、南の風、地上約2m(a)流線図(b)一様流入風速Uに対する風速比(主流方向(x)成分)0.9-0.60.81.2南の風図10 鉛直断面内の速度ベクトル図と流線図、 時間平均場、南の風、図9(a)に黒線で示す断面合計9点の気流性状を調査―:数値シミュレーション ●:風洞実験、平坦地 ■:風洞実験、実地形▲:風洞実験、実地形、樹木を模擬したマップピンを添付した場合図11 気流の鉛直プロファイルの比較、主流方向(x)成分、南の風南の風(B)(C)南の風南の風南の風

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