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「九州大学後援会」の助成を受けた方々の声調査風景(平成18年)オリジナリティの高い研究を行い、研究発表のために国際会議へ参加するためには少なくない予算を必要とします。私自身は33歳の時に社会人学生として芸術工学府修士課程に入学して研究活動を行っていましたが、新しい研究のアイデアを実現するためには外部資金を獲得する必要がありました。そのような中、「九州大学後援会」の助成事業は私のような年齢的にも応募可能な外部資金が少ない社会人学生にも開かれた数少ないチャンスであり、平成21年度の「学生の独創的研究に対する助成」と平成22年度の「学生の国際会議参加に対する助成」に採択されたことで、その後の研究活動を大きく飛躍させることができました。「九州大学後援会」は私のような社会人学生にとっても新しいことへ挑戦するチャンスを与える貴重な存在であり、今回解散されたことは非常に残念ではありますが、今年度から始まった「九州大学基金」の助成事業において多くの優れた研究の機会が生まれることを期待しています。私は平成23年度に“マイクロインジェクション法を用いた超高効率人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製法の確立”の研究課題で助成事業に採択されました。1年間の助成期間内に研究目的の完全な達成には至りませんでしたが、緑色蛍光蛋白質を発現するベクターをマイクロインジェクション法によりマウス胎児線維芽細胞 (MEF)に確実に導入できる実験系を確立することができました。現在はこの技術を応用し、マウス卵母細胞や胚性幹細胞に発現するRNAを用いたiPS細胞作製技術の開発を行っています。また、助成金の一部で国際学会に参加させていただき、海外での研究発表という大変貴重な機会を与えていただいたことに心より感謝申し上げます。研究業績の少ない大学院生にとって助成金を獲得することはとても困難であり、本研究助成は我々にとって大変貴重なものです。「九州大学後援会」は解散されましたが、引き続き助成事業は「九州大学基金」において行われるということで、これまで以上に学生の助成金獲得の機会を増やしていただけるよう、よろしくお願い申し上げます。私が代表として助成していただいた2件の研究は、生物の多様性、絶滅危惧種の保全への基礎的資料となる、地域の動植物相を調べるという内容でした。近年、生物の多様性、絶滅危惧種の保全が謳われるようになりましたが、その一方でこうした短期的に成果の出にくい基礎的な調査は世界的に見ても縮小の傾向にあります。そのような流れの中で採択していただいたことに、非常に感謝しております。その後、私の興味は海外の多様な植物へと広がりました。博士号を取得後、国の研究機関の派遣研究員としてタイに約2年半滞在し、現在は九大にて東南アジアを中心とする植物の多様性解明の研究を行っています。博士課程の研究と共に、私にとってはある意味原点となった2度の研究を忘れることなく、今後も邁進していく所存です。大変有意義な「九州大学後援会」の助成制度が今後も「九州大学基金」へ引き継がれ、発展していくことを切に願っています。平成20年に「描かれた九州、そして「ニッポン」の研究」の研究課題で「九州大学後援会」の助成を受けました。九州大学附属図書館医学図書館には、大正15年に購入されたシーボルト『NIPPON』の初版本があります。これまでほとんど忘れられた状態でしたが、平成14年に再発見して以降、助成を受けて基礎的な整理と保存処置を実施し、その後も研究を続けてきました。その結果、九大に所蔵されている『NIPPON』は未製本の初版本であり、20年以上にわたって分冊で刊行された『NIPPON』の配本当初の形を伝える世界的にも希少なものであることが明らかになりました。今後も科研費等を申請する準備段階の研究活動の支えとして、「九州大学基金」による研究助成を期待します。大学院医系学府博士課程 二井 偉暢さん平成23年度 学生の独創的研究に対する助成 採択西南学院大学国際文化学部教授 宮崎 克則さん(助成当時 総合研究博物館 准教授)平成17年度 教員の研究プロジェクトに対する助成 採択平成20年度 教員の研究プロジェクトに対する助成 採択大学院理学研究院学術研究員 田金 秀一郎さん(助成当時 大学院生物資源環境科学府在籍)平成17年度 学生の独創的研究に対する助成 採択平成18年度 学生の独創的研究に対する助成 採択金沢美術工芸大学講師 中安 翌さん(助成当時 大学院芸術工学府在籍)平成21年度 学生の独創的研究に対する助成 採択平成22年度 学生の国際会議参加に対する助成 採択24 Kyushu University Campus Magazine_2012.7

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