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シリーズインタビュー/伊東 信一郎九大人8 Kyushu University Campus Magazine_2012.7その原因は、経済活動が停滞していることに加えて、人口の減少や新幹線・バス・高速道路の拡充など。他の交通網との競争の激化などで、航空業界を取り巻く環境は厳しいものがあります。一方で、アジアは非常に元気がいい。幸いなことに、日本は成長するアジアの国々と近いので、アジアの人を日本に連れてきたり、アメリカから太平洋を渡ってアジアに行く人たちに、成田を利用してもらったりできる。これからは国際線で食べていかなければならない時代です。世界中の人々からANAを選んでいただけるように考えていかなければなりません。また、LCCの「できるだけ安く、サービスは有料で」というコンセプトに対して、私たち、フルサービス・ネットワークキャリアは、お客様の都合を優先し、より充実したサービスを提供していきます。アメリカから成田に着いて、2時間以内に乗り継ぎできるようにする、海外の航空会社とマイレージを提携するなど、サービス面で一線を引き、差別化を図るつもりです。私たちANAもLCCの子会社も、同じANAグループとして、お客様のご要望にお応えしたいと思っています。お客様に満足いただくこと、それが私たちの一番のモチベーションなのです。ー最後に、後輩の九州大学の学生にメッセージをお願いします。伊東 最近、アジアに行くと、すごい活気を感じるとともに、日本の元気のなさを痛感します。特に、中国の勢いは凄まじいですね。日本の高度成長期の時代を見ているようです。今や日本だけでは生きていけません。ですから、九州大学も、時代のリーダーとしてグローバルに活躍できる人材を育てる必要があるでしょう。海外に行きたがらない若者もいるようですが、国外に出て、成長するアジアの熱気を肌で感じてほしいですね。そして、グローバル化の時代をどう生きるか、また社会にどう貢献していくかを考えながら日々成長してほしいと願っています。ー国内では、LCC(格安航空会社)の参入が話題になっていますが、今後、航空業界はどのようになっていくと考えていらっしゃいますか。伊東 弊社も、LCCを2社立ち上げました。成田空港を拠点に運航する「エアアジア・ジャパン」と、関西国際空港を拠点に運航する「ピーチ・アビエーション」です。ANAのお客様がLCCに流れるカニバリゼーションを起こすのではないかという声もありますが、我々はLCCに新たな需要の掘り起こしを期待していて、実際そうなっています。これまで新幹線やバスで移動していて、飛行機に乗ることがなかった人たちの需要が見込まれると思っています。今後、国際線の就航もスタートするでしょうから、いずれソウルまで1万円以下の運賃で行けるような時代が来ると思いますよ。ー社長としての今後の展望をお聞かせください。伊東 日本の国内線の需要のピークは、2003年の9700万人でした。今は、8300万人まで減っています。マーケットはアジア。さらなる顧客満足を追求。国外に出てアジアの熱気を感じてほしい。今や、日本だけでは生きていけない時代。将来、リーダーとしてグローバルに活躍できる人材になってほしい。

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