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指導教員より■九州大学の関連WEBサイトへGo九州大学 統合http://www.ifs.kyushu-u.ac.jp/芸術工学研究院 デザイン人間科学部門樋口 重和教授 ひ ぐち しげかず研究者としてのバランス感覚を大切に、さらに飛躍してほしい。彼の研究の評価すべき点は、メラノプシンという光感受性物質への感心が高い中で、ヒトのメラノプシン遺伝子に着目し、遺伝子タイプの違いと生理反応の関係を確実なものにしたことにあります。メラノプシン遺伝子の研究は、2年程前にスタートしたのですが、初めての研究成果で賞を受賞できたことは、今後、彼の研究のモチベーションになると思います。彼の研究姿勢を一言で言うと、真面目ですね。日々の研究のなかで、彼が外国人であることを意識したことはないですよ。日本語もとてもきれいですから。ゼミでは一番積極的に質問してきますし、仕事はとても丁寧で精度が高い。研究姿勢が安定しているので私も信頼しています。後輩の刺激にもなっていると思いますよ。研究者は、学問を探究する中で、社会に貢献する成果を出すのも大切ですが、時に遊び心も必要です。今後は、そういったバランス感覚を磨きながら、より大きな成果を上げていってほしいですね。李 相逸さん DATA←←←←←いので、今後は、より私たちの生活に関連のある睡眠や生体リズムとの関係を見ていく予定です。臨床分野にも応用できる研究に発展できればと思っています」 李さんは、韓国の大学で産業デザインを学び企業に就職しましたが、人間工学を学ぶために2006年来日。本学の研究生を経て大学院へ進学されました。 「大学のとき、自分が描いたデザインを、人がどのように感じているのかずっと気になっていました。それで、人間工学に興味を持つようになり、研究が進んでいる九州大学への進学を希望したのです。今は人間工学より生理学に近い研究ですが、人間を知るという意味では同じです。大変なのはプレゼンテーション。外国語で論理的に説明するのに苦労しています(笑)」 研究者は小さなことでも絶え間なく「なぜか」と思うことが大切。好奇心があればどんな研究にもチャレンジできると語る李さん。志を持って本学に来た韓国の青年は、研究者の道を着実に歩んでいます。研究者は常に「なぜ」と思う好奇心を持つことが大切。日本で結婚され、息子さんもいらっしゃるという李さん。休日はできるだけ家族と一緒に過ごすようにしているとのことです。研究の息抜きは人と話すこと。いろいろな人と話すなかで、自分の考えがまとまってきたり、新しいアイデアが浮かんだりするといいます。元デザイナーだったこともあり趣味は写真。クリエイティブな創造力も持ち続けたいとのことでした。memo大韓民国出身南山(ナムサン)高等学校(釜山)東亞(トンア)大学校(釜山)北九州YMCA(日本語学校)九州大学 大学院統合新領域学府修士課程九州大学 大学院統合新領域学府博士課程※1 桿体細胞…光を感じる視細胞で薄暗い所で明暗情報にのみ反応する。※2 錐体細胞…光を感じる視細胞で明暗と色情報に反応する。※3 多型(遺伝子多型)…遺伝子を構成するDNAの塩基配列には個体差のあるものがある。集団中に1パーセント以上の頻度で存在するものを遺伝子多型といい、生理機能などに影響を及ぼす多型もある。※4 季節性感情障害…冬季に発症するうつ病が有名であり、日照不足が原因と考えられている。※5 短波長…可視光線の波長の範囲は、一般的に380〜780nmで波長の長さによって色が異なって見える。その色は波長の短い領域から紫-青-緑-黄-橙-赤の順に分布し、比較的に波長の短い領域(紫-青)を短波長と呼ぶ。NEXT Professional人間理解に基づき、科学的に「感性」を明らかにしたい。12 Kyushu University Campus Magazine_2012.11

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