http://www.kyushu-u.ac.jp-kyudaikoho_85
12/36

地球温暖化が進むなか、その対策として二酸化炭素(以下、CO2)排出量の削減や省エネルギー化が地球規模で推進されています。電化製品の開発においても重要なファクターの一つです。 今回ご紹介する松尾叔美さんは、地球温暖化係数が極めて低い自然冷媒・CO2を用いた「CO2ヒートポンプ給湯システム」の研究に携われています。CO2ヒートポンプ給湯システムは、大気熱を低温熱源として吸熱し湯を湧き上げるので、エネルギー変換効率が良く、従来型のガス給湯器等と比較し、50%以上のCO2排出量の削減が期待できます。なお、本システムはこの10年間で300万台以上普及しています。 しかし、深夜電力を利用し長時間かけて給湯を行うため、熱交換器内での給湯用水の流量が少なく、流れが層流になることから、熱伝達性能が低下してしまうという問題点がありました。一方で、水を撹拌すると熱の伝わりやすさが向上されることがわかっており、ここに着目した松尾さんは、少ない流量でいかに効率よく撹拌して、伝熱性能を高めるかという研究に取り組んでいらっしゃいます。 また、ヒートポンプ給湯機は、圧力が高いため安全性や作業性に問題がありました。さらに、耐圧を考慮しなければならないため実験装置も高額になります。このような背景から松尾さんは、高圧であるCO2の代わりに水をCO2模擬流体として使う新しい実験方法も提案しました。 「研究にあたっては、実験装置から自分で作っていますので、専門分野だけでなく、すべての測定機器に精通しておかなければなりません。また、配管も自分で設計しているので、機械設計から材料、流体工学まで幅広い知識が必要になり、最初は大変でした」とのことです。 現在は、CO2をCO2模擬流体の水で代用した新しい実験方法により「CO2ヒートポンプ」の熱伝達の高性能化を目指す。CO2の代わりに水を使った新しい実験方法も提案。※新しきたち挑戦者17 通して、貢献したい。Kyushu University Campus Magazine_2013.1 11

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です