http://www.kyushu-u.ac.jp-kyudaikoho_85
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(2013年竣工) OPERAでは、次世代の高精細ディスプレイや照明への展開として大きな期待が寄せられている有機EL用の画期的な新発光材料(第三世代)の開発に成功しました。ELの基礎サイエンスに注目し、発光の励起子発生メカニズムに関わる一重項と三重項励起状態のエネルギーギャップを小さくする分子設計により、電子を光へほぼ100%の効率で変換できる新しい有機発光材料を開発しました。有機EL発光材料においては、従来、蛍光材料(第一世代)、リン光材料(第二世代)が実用化されてきましたが、本研究成果は、これらの長所を併せ持った低コスト・高効率発光を可能とし、また、無限の分子設計の自由度を最大限生かせる夢の発光材料の創出と位置付けることができます。この九州大学発の新しい発光材料を“Hyperfluorescence"と命名します。これはレアメタルを使わない究極の発光効率を有する有機EL素子の実現につながります。この研究成果が、2012年12月13日に国際学術雑誌“Nature”に掲載されました。 今後、アカデミックな視点から、より詳細な物性解析を進め、有機発光材料の学理の確立とともに、さらに新しい有機発光材料の創出に挑戦していきます。また、TADFを発光中心に用いた有機ELデバイスの迅速な実用化を目指して、材料開発・デバイス開発・プロセス開発を統合し、光の三原色を示す高効率なRGB発光材料のラインナップ、高耐久性素子の実現へと研究開発を進めて行きます。九州大学では、今後、この研究成果の実用化に向けた研究開発を産学官で推進していきます。クローズアップ❶Cl seup第3世代有機EL発光材料の開発に成功 -Hyperfluorescenceの誕生-今後の展開TADFを用いたディスプレイのデモンストレーション高効率TADFを示す新規有機EL発光材料電荷再結合による励起子生成からTADFに基づく新しい発光メカニズム14 Kyushu University Campus Magazine_2013.1OPERAでは、2012年にふくおかISTによって開設された有機光エレクトロニクス実用化開発センター(i3-OPERA)と一体となって、産学官の共同研究を進め、基礎から応用デバイスまでの研究開発に一貫して取り組んで参ります。近い将来、“分子システムデバイスバレー”の形成へと繋げて参ります。Webサイト 九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)http://www.cstf.kyushu-u.ac.jp/~adachilab/opera/index.htmlHighly efficient organic light-emitting diodes by delayed fluorescenceNatureHiroki Uoyama1, Kenichi Goushi1,2, Katsuyuki Shizu1, Hiroko Nomura1 and Chihaya Adachi1,21 Center for Organic Photonics and Electronics Research (OPERA), Kyushu University 2 International Institute for Carbon Neutral Energy Research (WPI-I2CNER), Kyushu University論文名 :雑誌名 :著 者 :所 属 :

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