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シリーズインタビュー/渡辺 朱美九大人6 Kyushu University Campus Magazine_2013.1ー世界に比べて日本は、社長など幹部になる女性が少ないと言われます。これについてはどのようにお考えですか。渡辺 日本には「女性は家を守るもの」という文化が古くからつい最近まで根付いていました。そのせいか、女性の幹部への登用はまだまだ少ないですね。でも、いきなり社長にというのではなく、課長職や部長職といったその前のパイプラインを増やさなければならないと思うのです。これは、時間がかかるプロジェクトです。ちょうど今が過渡期なのかなと思っています。ー最後に九州大学の学生にメッセージをお願いします。渡辺 大学時代は社会人になる前の大切な時期です。ただ知識を身に付けるだけでなく、自分の意見をしっかり持って、目の前の課題に対して、自分自身でその解決策を導き出せる力を身につけてほしいです。また、社会のグローバル化が進むなかで、英語が話せるだけでは意味がありません。相互の意思疎通ができ、論点が噛み合った議論を展開できるコミュニケーションスキルが必要だと思います。さらに、プレゼンテーションのときに「訴える力」も重要です。まわりの人を動かすだけの説得力のあるプレゼンテーションスキルを培ってほしいですね。それから、大学時代に海外には行っておいた方がいいです。英語の勉強にもなりますし、何より海外で異文化を体験し、その刺激を受けることは貴重な財産になると思います。グローバルな視点を養って、社会人になる準備をしっかりしておいてください。ーアイ・ビー・エムとレノボ・ジャパンで仕事上の違いを感じることはありますか。渡辺 両社とも、グローバル企業なので、大きな違いはありませんが、アイ・ビー・エムが、B to Bで法人向けのビジネスが主なのに対して、レノボは、B to C事業もあり、対象とする市場の範囲が広いという違いがあります。コンシューマーを相手にすると、動きが早く、こちらもそれに合わせてアクションを起こさなければならないところが大変ですね。ーところで、渡辺社長は1986年の入社ですが、この年、男女雇用機会均等法が初めて施行されています。女性の社会進出におけるパイオニア的な世代として、ご苦労も多かったのではないですか。渡辺 確かに、男女雇用機会均等法の施行は、マイルストーンだったと思います。しかし、アイ・ビー・エムのような外資系の会社は、当時から性別関係なく機会が与えられ、実力次第で上に上がっていけましたから、あまり苦労はなかったですね。法律の影響は、女性も深夜残業できるようになったことくらいでしょうか。論理的思考を身に付け、グローバルな視点を養ってほしい。仕事をする上で重要なのは、コミュニケーションとプレゼンテーションスキル。周りの人の心を動かす力を身に付けてほしい。

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