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れません。これが私とハイデルベルクとの出会いでした。 私は、社会学を勉強するためハイデルベルク大学に交換留学をしました。留学生活は、新しい〝出会い〞の連続でした。例えば、「健康」の定義を問い直す医療社会学のゼミナールでは、大学入学前に病院などでボランティアをする社会福祉奉仕活動制度に参加したクラスメートと経験に根差した議論をし、社会で構築される健康の定義を見つめ直す作業はスリリングでした。 美術館巡りも、留学生活には欠かせません。キュレーターの経験のある教員との課外授業を利用して、豊富な所蔵品を誇るドイツ各地の美術館へ週末に友達と訪れ、作品の持つ非日常性に興奮しました。幸運なことに2012年は現代美術の国際展覧会dOCUMENTA(13)が行われており、最先端の現代アートにふれるだけではなく、アーティストと友達になるという〝出会い〞をしました。 ハイデルベルクには、無数に交差する歴史のレイヤーがあります。有名な中世のハイデルベハイデルベルク大学21世紀プログラム 4年 杉山高志(すぎやま たかし)留学先大学九大生が案内する世界のキャンパス交換留学について詳しく知りたい方は、「九大生のための海外留学情報」(http://www.isc.kyushu-u.ac.jp/intlweb/study/)をご覧ください。過去の交換留学生による報告書も大学毎にたくさん掲載しています。 ハイデルベルク大学は、1386年に創立されたドイツで最古の大学であり、ドイツ有数の世界的な大学です。著名な教授が教鞭を取ったと言われ、哲学者のゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル、社会学者のマックス・ヴェーバー、社会哲学者のユルゲン・ハーバーマス、精神病理学者であり哲学者のカール・ヤスパースなどが挙げられます。ノーベル賞受賞者も多数輩出し、世界中から学生や研究者がハイデルベルク大学に研究に来ています。 ハイデルベルク大学にはスポーツ科学の研究所もあるため、充実したスポーツ施設と学生向けのスポーツの課外活動が多種多様に提供されています。演奏会や演劇も数多く開催され、ハイデルベルクの中世の町並みに囲まれ、悠久のドイツ文化にふれることが出来ます。また、欧州サッカー連盟主催のUEFAチャンピオンズリーグやUEFA欧州選手権開催時には大学食堂やカフェで試合をパブリックビューイングすることが出来、街全体でサッカーに沸き立ちます。大学の特色 夜行列車を降り、霞立つ早朝のネッカー河の畔を歩いていました。川沿いの街灯が一斉に消えた時、目にうつったハイデルベルク城の薄明るいシルエットを今でも忘れらルク城だけではなく、ナチス時代にプロパガンダのために作られた屋外劇場もあります。郊外には、第二次世界大戦後に作られたNATO軍の基地もあります。この基地は、近い将来撤退するといわれており、住民で基地の跡地の活用について議論されています。長い歴史を持つハイデルベルクは、今なお変化し続けています。時代を超えて様々な〝出会い〞を街は私に与えてくれました。私はこの留学生活を一生忘れません。(ドイツ)自家製シュナップス・パーティーにて(筆者中央)ハイデルベルク大学の講堂Alte Aula夕陽に染まるハイデルベルクの街並み34 Kyushu University Campus Magazine_2013.3

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