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▲アジア遠隔医療開発センターの広がり▲内視鏡手術ライブの様子手術を、九州大学から韓国へ配信。その映像を基にたくさんの議論が交わされ、ライブ手術は大成功に終わりました。これを契機に、数多くのテレカンファレンスやライブデモンストレーションが行われるようになり、教育のコンテンツとして発展してきました。鈴木 九州大学の学生もライブ手術を経験しているのですか。清水 毎年、医学部二年生の学生を対象に、ソウル大学校附属病院とつないでライブ講義を行っています。学生に遠隔医療を体験してもらいながら、外科手術とはどんなものか知ってもらう。また、英語で質問してもらうことで、英語のコミュニケーションに慣れてもらうといったことが目的です。学生にも好評で人気のある講義です。鈴木 現在、どのくらいの国とつながっているのですか。清水 2013年4月までに世界34カ国、221施設を接続し、255回のテレカンファレンスと105回のライブデモンストレーション、計360回のプログラムを施行しています。日本国内のみの接続は49回。残りの311回はすべて海外との接続で大半が国際的な活動です。九州大学は、遠隔医療の世界におけるハブ的な役割を担っています。また、サッカーのワールドカップが開催される国は、通信インフラが整備され、経済的にも活性化することで、遠隔システムが一挙に発展する傾向にあります。来年はブラジル大会。今私たちの間では、ブラジルを初めとした南米の国々がホットな話題になっています。鈴木 遠隔医療のプログラムについて、海外の医師から要望などありますか。清水 急な要請が多いですね(笑)。日本は患者さんのセキュリティの問題など、法的にかなりシビアなので様々な準備が必要になります。しかし、海外はその辺が緩く、会議システムを行う感覚で要請してくるケースが多いのです。開発途上国など、アジアの大半がそうです。逆に、日本が少しシビア過ぎるのかもしれませんが。鈴木 遠隔医療のプロジェクトを進めていく上で、現在の課題は何でしょうか。清水 このシステムは、熱意のある医師とそれに協力してくれるエンジニアがいれば、比較的簡単に利用できます。でも、こんなことをやりたいと医師が思っても、誰に頼んだらいいのかわからない。技術者を知らないのです。また、適任と思える技術者を見つけても、すぐに協力してもらえるとは限りません。プロジェクトをより発展させるためにも、医師のニーズと技術者のスキルをいかに上手く合体さ医師と技術者が「Win-Win」の関係を築くことが大事Kyushu University Campus Magazine_2013.5 9

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