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▲アジア諸国の大学院生への遠隔講義の様子▲左から清水センター長と鈴木准教授せるかが一番の課題です。医師と技術者が、何のためにプログラムを作ろうとしているのかお互いに理解し、それによって各々がどんなインセンティブを得られるのかわかってもらうことが大事なのだと思います。医師と技術者が対等な立場で研究できる「Win-Win」の関係を築けるようにサポートしていきたいと思っています。鈴木 今後はどのように展開していく予定ですか。清水 技術的には、これまでデジタルビデオ伝送システム(DVTS)と呼ばれる無料ソフトを主に使っていましたが、それに変わる新しい技術が次々に生まれています。より良い画像を、より簡単な方法で、より多くの施設へ、より安く送信する。これを目標に研究を重ねているところです。また、日本では、「Face to Face」で患者さんの診療を行うように法律で決められていて、現状、医師と患者の遠隔診療はできません。しかし、国際間の医療格差や医療過疎、医療難民の問題は深刻です。遠隔診療を行うためには、法的な問題や診療報酬の問題など、解決しなければならない課題がたくさんありますが、医師同士の遠隔教育のみならず、医療者と患者間の遠隔診療の方向性も実現化に向けて努力していきたいと考えています。鈴木 最後に、九州大学を受験しようとしている学生や、在学生に向けてメッセージをいただけますか。清水 日本の外にも目を向けてほしいと思います。機会があれば学生の間に海外へ留学してほしい。私がアメリカ留学を経験して感じたのは、アメリカは国土が大きいけれど、人の心も大きいんだなということ。彼らは、仕事も一生懸命やるけれど、仕事が終わったら家族との時間を思いっきり楽しんでいて、当時の日本人の感覚とは明らかに違っていました。その他にも、文化や習慣、考え方の違いなど、日本では見えていなかったことにたくさん気付かされました。私が子供の頃は、東京まで列車で十数時間かかっていました。でも、今は日帰り出張も珍しくありません。それを考えれば、日本からアメリカに日帰りするのが当たり前になる時代が来るかもしれない。今後、世界はますます凝縮され近くなると思います。だから、できるだけ海外の研究者や学生と交流を持って、国際感覚を養ってほしいのです。そして、世界的なプロジェクトを動かすリーダーとして活躍してほしいですね。国際感覚を養い、世界的なプロジェクトを動かすリーダーになってほしい将来は医師と患者の遠隔医療の実現化も10 Kyushu University Campus Magazine_2013.5Front Runner :清水 周次

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