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現代は、コンピュータやネットワークが浸透し身近なものとなる一方で、それらを悪用した犯罪が増加傾向にあります。今、このような捜査に導入されているのが「フォレンジック」という科学捜査技術です。フォレンジックは、コンピュータに関する犯罪や法的紛争が生じた際に、必要なデータや電子的記録を収集・分析し、その法的な証拠性を明らかにする捜査手法で、簡単に言えば「デジタル鑑識」のこと。今回ご紹介するリンバ・ウィディアナ・チプタサリさんは、その中でも画像を対象とした画像フォレンジックを専門に研究されています。 画像フォレンジックでは、「ブラインド型」という手法がよく使われます。本物の画像と合成画像を大量に収集し各々の情報を検出。その後、ターゲットの画像がどちらの情報を多く保持しているかを調べ、本物か合成画像かを見極めるのです。しかしこの方法では、合成画像をどこの画像を使ってどのように合成して作ったのか、そのプロセスまではわかりませんでした。それを明らかにしたのがリンバさんの「非ブラインド型」という手法です。 「画像が改ざんされたプロセスがわかれば、容疑者の特定に寄与することができるかもしれません。将来はこの研究をインドネシアの犯罪調査に活かしたいと思っています」とリンバさん。 インドネシアでは大学(Telkom Institute of Technology)で教鞭をとっていたリンバさんですが、ご主人が九州大学へ留学することになったのを機に本学の大学院への進学を決意。フォレンジックの研究は、日本に来てゼロからのスタートでした。 「最初は、サイバー攻撃者がどのように合成画像を作るかさえわからなかったので、どう仮説を立ててプロセスを証明しようかと悩みました」 それでも、本学の研究活動の中で複数の論文を執筆。著名な国際会議の一つInternational Workshop on デジタル時代の鑑識、「フォレンジック」を研究。 合成画像の出所を追求することで犯罪調査を有利に。日本に来て始めた本研究で、著名な国際会議の賞を受賞。リンバ・ウィディアナ・ チプタサリシステム情報科学府 情報学専攻 博士後期課程3年Rimba Whidhiana Ciptasari九州大学で学び、目指す分野を究めようとする次世代のプロフェッショナルを紹介します。今回は、インドネシア教育文化省高等教育総局派遣留学生として本学大学院博士後期課程でマルチメディアセキュリティに関する研究に取り組まれている女性研究者にお話を伺います。さん母国、インドネシアの犯罪調査に研究を活かしたい。Kyushu University Campus Magazine_2013.5 11

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