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併のなかでも大変上手くいったのではないかと自負しています。異なる企業文化を持つ人たちと交わることで、苦労もありましたが、刺激を受けることも多かったですよ。さまざまな価値観を持った人たちと知り合いになれたことは、自分の視野を広げる上でも良かったと思っています。ー2009年6月に代表取締役社長に就任されて4年ほど経ちますが、会社のトップとして、現在のお気持ちをお聞かせいただけますか。田中 2008年、リーマンショックが起きたことで、当社の業績は大きく悪化してしまいました。それを建て直すために社長を打診されました。実をいうと私は、副社長で退任するつもりで家族にもそう話をしていました。ですから、最初はお断りしたのですが、常日頃から社員に、「判断に迷った時は、自分にとって厳しい道を選べ」と語ってきたこともあり、最終的には、世話になった会社に恩返しをする覚悟で引き受けることにしました。現在は、1万3000人の社員、その家族の幸せのために、会社のことが頭から離れることはありません。社長はある意味「公人」だと思っています。私利私欲を超えた使命感を持っていなければ、到底、務まりません。これからも、自分を捨てて、全身全霊で経営に邁進していくつもりです。ー御社は、化学事業の会社で技術者の集まりという印象があるのですが、田中社長は文系出身でいらっしゃいます。一般的に、技術者と営業の間には見えない壁がありがちですが、どのようにマネジメントされてきたのでしょうか。田中 化学会社としては技術革新が命であり、人文科学のマネジメントと技術の強さをマッチングしていくことが大切です。理系でも文系でも社会人に求められる条件は、世の中の「人文科学」をいかに理解しているかということ。つまり、不合理なもの、1+1が1や3になったりする世界があることを理解するのが大切です。特に経営者としては、これが絶対条件になります。また、よく理系は緻密で文系は大雑把と言われますが、それは文系・理系に関係なく、個人に依存しているのだと思います。要は、理系は人文科学の世界を身につけ、文系は技術を理解しようと努力することが大事です。下手な技術者より技術に詳しい文系の人もたくさんいますからね。学生時代の数年で科学の原理や先端技術を学ぶことは、技術の基礎を築くという点でもちろん重要ですが、社会人になれば 30〜 40年、専門の仕事に従事するわけですから、社会人になってからの努力が大切。そこで差が出ると思います。世の中は、理屈通りには行かないことも多身命を惜しまず、全身全霊で経営に邁進Kyushu University Campus Magazine_2013.5 5

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