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▲紫綬褒章の受章時に贈られた賞状と勲章4 Kyushu University Campus Magazine_2013.7〈聞き手〉理事・副学長 今泉 勝己いま いずみ かつ み都甲 光栄なことだと思っています。特に嬉しかったのは、研究に携わった人たちが喜んでくれたことです。さまざまなサイエンステクノロジーがありますが、やはり私はモノとヒトがダイレクトにリンクする研究が好きです。「人の幸せにつながる技術の開発」が私の長年にわたる研究テーマなので、賞をいただいたことで、私の周りの人たちを幸せな気持ちにできたことは、私にとって二重の喜びとなっています。今泉 先生は本学工学部のご卒業ですが、どのような学生生活を送られていたのでしょうか。都甲 基本的によく勉強していましたね。学生運動の時代でしたが、学生運動は全くせずに、授業をボイコットしようとする学生に、「僕はこの授業を受けたいから邪魔をしないでくれ」と一番に言うような学生でした(笑)。また、徹夜で友人と人生を語り合うこともありました。実は、高校時代は大学の哲学科に進んで「人間とは何か」ということを勉強したいと思っていました。でも、文系は就職が厳しいかもしれないと思って工学部に進学したのです。しかし、工学部は“Why”より“How”のファクターが強く満足できませんでした。だから後に、味覚センサの研究に踏み込むことになったのだと思います。今泉 先生は、学生時代から研究者になると決めていらしたのですか。都甲 中途半端なことが嫌いなので、修士に進むならドクターまで行こうと思っていました。20歳のとき、 “Why”のファクターが大きい「物性」と「人間」に関わる研究をしようと決心しました。幸運なことに、同じ時期に恩師が生体の研究を始められたので、修士1年からバイオの研究を始めることができたのです。今泉 学部のときは、情報科学を学ばれたと思うのですが、その知識が「味覚センサ」の開発に結びつくこともあったのでしょうか。都甲 人はコーヒーを飲んでも、苦いとか甘いとしか言いませんよね。味覚センサも同じです。化学物質には着目せずに、酸っぱいとか苦いとかいった情報を出す。これは電気情報に似ています。イン今泉 この度は、紫綬褒章の受章おめでとうございます。先ずは受章のご感想をお聞かせください。「人の幸せにつながる技術」が長年にわたる研究テーマ

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