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 九州大学の人間環境学府は、個々の専門領域の内に閉じこもらない学際性を兼ね備えた人材の育成を目指しています。今回ご紹介する金子さんは、この人間環境学府に在籍。教育学を専攻されています。教育学と聞くと一般的に、何を教えるか、どのように教えるか、といった内容をイメージしますが、金子さんは「教育経営・法制」研究室に所属。教育を支える外的条件となる環境整備や職員の人間関係など、「経営」という視点から教育を研究されています。 金子さんの研究テーマは、国立大学法人における附置研究所・研究施設の変容。法人化後、めまぐるしく動いた研究組織に着目しました。 「かつて研究所や研究施設は、法令により、予算や定員の裏付けのもとで設置されてきました。しかし、法人化によって、各大学の裁量で設置・廃止ができるようになり、組織のバリエーションが広がっています。また、法人化以後、研究所の数や経費だけみると、一見、活性化しているように見えますが、細かくみると状況は異なります。法人化前は、大学の枠を超えて統合されることもありましたが、今は大学に必要ないと判断されれば、相対的なレベルのいかんに関わらず縮小・廃止される可能性があり、『選択と集中』戦略の中で存続が難しくなる組織もあるようです」 金子さんは、現在の研究所の在り方が絶対ではないと言います。今後は、附属学校など、他の大学附属組織も研究し、比較検討しながら研究組織の在り方を探っていきたいとのこと。 昔から教育に関心を持っていた金子さんは、教師を目指した時期もありました。しかし高校の先生に、「教育行政という分野もあるから、幅広く学べる大学に行ったほうがいい」と言われ九州大学の教育学部に入学。その後、人間環境学府へ進みました。 「今、地理学や社会学を専攻する院生と一緒に研究会を行っています。専門が異なる人たちと議論するのは刺激的で、研究へのメリットも大き金子 研太人間環境学府 教育システム専攻 博士後期課程3年Kenta Kaneko九州大学で学び、目指す分野を究めようとする次世代のプロフェッショナルを紹介します。今回は、経営という観点から、大学の法人化を契機とした研究組織の変容を研究し、日本学術振興会の特別研究員としても活躍されている人間環境学府の若き研究者にお話を伺います。さん教育を「経営」という視点から考える。大学の法人化による附置研究所、研究施設の変遷を追う。人間環境学府の学際的な学びはメリットも大きい。Kyushu University Campus Magazine_2013.9   1121

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