http://www.kyushu-u.ac.jp-kyudaikoho_89
7/32

▲理化学研究所 研究本館研究を進めるなかで、海外の優秀な研究者との交流は大きな刺激になっている。「猿橋賞」の受賞を機に、さらに多くの人に肥山研究室の研究を知ってもらいたい。6  Kyushu University Campus Magazine_2013.9らなかったので大変でした。話すことができても、質問の内容がわからなかったり、的確な言葉が見つからなくてディスカッションできなかったり。もどかしい思いをすることも多かったです。ですから数年ほど、英会話の学校に通っていました。これから研究者を目指そうと思っている人は、絶対、早い時期に英語のスキルを習得しておくべきです。─今は理研で、ご自身の研究室を持ち研究を進められていますが、現在の研究環境はいかがですか。肥山 自分で研究室を運営するのは、責任もやりがいも大きいですね。理研がさまざまな機関と協定を結んでくれるので研究が進めやすく、海外との交流も活発になっています。理研に来て急速に人的ネットワークが広がりました。世界に自分の研究を広める上でも、理研はベストな研究環境だと思っています。─「猿橋賞」の受賞は、今後の研究活動にも有利に働くのではないですか。肥山 正直言ってここまで注目されるとは思っていませんでした。今は受賞したことがどのように影響するかわかりませんが、私の名前が知られることで、より多くの人に肥山研究室の研究を知ってもらうことができればと思っています。─ところで肥山さんは、子どもの頃から理系が得意でいらしたんですか。肥山 小学3年生の時まで勉強が苦手でした。見かねた母が毎日勉強を見てくれていたのですが、その教え方がとてもわかりやすかったのです。例えば、体積を求める計算式は、台所からジャガイモを持ってきて1センチ角に刻み、それを積み上げながら数式が持つ意味を教えてくれました。目に見える方法で教えてくれたからすぐに理解できたんですね。残念なことに今、物理学は化学や生物に比べて人気がありません。でも物理は本来、とても論理的でわかりやすい学問です。母が私に教えてくれたように、もっとビジュアルに訴えるような教え方をすれば、理解も深まり興味を持ってもらえるのではないかと思っています。─最後に九州大学の学生にメッセージをいただけますか。肥山 道に迷ったら、自分の一番やりたいことは何か、自分に問い直してみてください。やりたいことがあるのなら、恐れずまっすぐ進んでほしい。若い時の失敗はいくらでも挽回できます。自分を信じて頑張ってください。迷ったら、自分が本当にやりたいことは何か考えてみてほしい。インタビュー/肥山 詠美子※1 多体問題(たたい‐もんだい)…物理学で、相互作用する3個以上の質点からなる系の運動を規定する問題。古典力学でも量子力学でも解析的に解は出ず、適切な近似法を用いる。原子核における核子の系、結晶内の電子・原子の集合などの運動も扱われる。※2 ポスドク…ポストドクターの略。博士課程を修了し、常勤研究職に就く前の研究者。数年単位の契約となる。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です