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都留 ところで先生がこの道を志されたきっかけをお聞かせいただけますか。藤本 大学3年生の夏休みに、木材の研究のアルバイトをさせてもらいました。そのとき、木材それぞれに特徴があっておもしろいなと思ったのがきっかけです。特に強度性能を勉強してきました。木材は軽さの割に鉄より強度があるため、耐震性が高く、大きな構造物に使うと効果的なのです。先日「超高層ビルに木材を使う研究会」が設立されて議論を交わしているところです。都留 これまでにご苦労された点などお聞かせいただけますか。藤本 木は生物材料、つまり生き物なので実験が非常に難しいです。一つひとつ違う。バラツキとの戦いです。それはずっと悩んでいます。都留 その悩みをどのようにしてクリアしようとされていますか。藤本 条件設定を極端にとってカバーしています。それで傾向は見えてくるのですが、今回のように実用に結びつけようとすると難しいところがあります。今回の研究は、社会に還元することが目的なので、どのように使えばいいのか細部まで提案しなければなりません。これからが大変です。都留 最後に九大生に向けてメッセージをいただけますか。藤本 まず、現場を見て欲しいですね。現場の人が何を悩んでいるか、どのような課題を抱えているか知って欲しいと思います。現場を見て、問題点を認識することが研究のモチベーションにつながるはずです。また、私が扱っている生物材料は、ゴールが見えにくいところもありますが、結果を出すことができれば波及効果の大きな研究です。ぜひ、生物材料も扱ってみてください。そして環境面に配慮したサスティナブル(持続可能)な研究にチャレンジしてもらえればと思っています。や住宅メーカーと研究者の意見を調整しながらプロジェクトを進めています。また、専門の乾燥手法においては乾燥と香りの関係に着目しています。実験棟ではスギの木を全面に貼っていますが、一般的な住宅で全面に貼ることはありません。今後は何パーセント杉を貼れば香りの影響を体感できるかといったことを考えていくことになるでしょう。少しずつ、現場におろすための実験に変えていく予定です。それも自分の役割だと思っています。現場を見て、環境に配慮したサスティナブルな研究を。10  Kyushu University Campus Magazine_2014.1▲都留准教授(左)、藤本准教授(右)※1 新建材…新しい材料や製法によって作られた   建築材料のこと。合成樹脂を材料とするもの   が多く、断熱材・壁・床・家具などに用いら   れる。プリント合板・ビニール・タイルの類。※2 唾液アミラーゼ…交感神経の活性を評価す   る指標として使われている酵素。Front Runner :藤本 登留

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