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■九州大学の関連WEBサイトへGo九州大学 比較社会http://scs.kyushu-u.ac.jp/と。そして、感謝を言葉にする場合は、『ありがとう』や『すみません』といった定型句を使わず、自分の言葉で表現していることなどが明らかになってきました。さらに、スリランカ人が感謝を表す言葉の一つに功徳表現があることもわかりました。例えば、『私の宿題を手伝ってくれたから、あなたにはたくさんの功徳がありますよ』といったように、感謝する側が感謝される側に功徳が積まれることを、語ったり、祈ったりするのです。これは今までにない新しい発見でした。研究を通して私は、ただ日本語を教えるだけでは不十分で、日本人がどのようなシーンでどのように感謝の言葉を使うのか、そこまで教えなければ理解は深まらないことを実感しました」 ディヌーシャさんには、スリランカの日本語教育を支えたいという熱い想いがあります。日本で研究した成果もスリランカの日本語教育の現場に活かしたいとのこと。母国に戻っても、両国の架け橋となって親交を深めてくれるに違いありません。←←S.M.ディヌーシャ ティランガニー ランブクピティヤさん DATA※1 ロールプレイ…実際の場を想定し、被験者にさまざまな役割を演じさせて問題の解決を会得させる学習方法。※2 功徳(くどく)…仏教用語で、現世・来世に幸福をもたらすもとになる善行のこと。神仏の恵み。御利益。サバラガムワ大学(スリランカ)信州大学 大学院人文科学研究科 言語文化専攻 修士課程九州大学 大学院比較社会文化学府 日本社会文化専攻 博士後期課程※2スリランカ 支えていき 現在の研究をスリランカの教育現場で活かしたい。  子育てをしながら、研究を続けるのは大変だと思うのですが、彼女は一切そんな苦労を見せません。精力的に論文を書き、学会で発表しており、まさにスーパーウーマンです。日本語も堪能ですし、スピーチが上手でいつも堂々としています。スリランカ人の「感謝表現」の研究については、先行研究が全くなく、研究方法も模索しながら進めています。留学生で先駆者的な研究を行うのは、より困難が伴うと思うのですが、自分で切り開いていっているのが素晴らしいですね。ゼミでのコメントや質問は的確です。研究室の議論をリードすることも多く、ゼミの活性化という意味でも重要な存在です。個人的には日本に残って研究を続けてほしいという想いもあるのですが、彼女自身、スリランカの日本語教育に貢献したいという気持ちが強いようですし、スリランカの高等教育の発展のためには、彼女のような人材が必要なのだろうと思います。母国に帰っても日本語教育の活性化に貢献してくれることを期待しています。留学生の家族のための日本語教室の様子スリランカの日本語教育の発展に貢献してほしい。比較社会文化研究院松永 典子まつなが のりこ教授指導教員よりディヌーシャさんは、日本人の里親とコミュニケーションをとりたいという想いから日本語の勉強を始めたといいます。現在は、研究以外に外国人の日本語教育にも興味が広がり、大学内でチームを組んで、留学生の家族に日本語を教えているとのことです。memo12  Kyushu University Campus Magazine_2014.1

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