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Cl seup 全学の大学院生を対象とした大学院共通科目「環境・公害原論演習」の一環として、平成25年11月23日(土)から27日(木)まで、文部科学省の環境リーダー育成プログラム採択校のうちの5大学(九州大学、熊本大学、北九州市立大学、筑波大学、岐阜大学)合同で、水俣市にてワークショップを開催しました(主幹:九州大学)。 これは、「東アジア環境ストラテジスト育成プログラム(EAESTP)」の選択必修科目であり、本年で3回目の開催となります。  今回の「MINAMATA UNIT 2013」には、5大学から日本人学生5名を含む、アジア・アフリカ16か国35名の国際色豊かな、多分野専門領域の大学院生が参加しました。 テーマは、PART1「水俣病」、PART2「現在の環境首都みなまた」で構成されました。 1か月にわたる事前講義と事前課題で臨んだPART1では、演習前半の3日間で、様々なステークホルダー〔患者、患者支援団体、胎児性患者施設、医師、マスメディア・記者、研究者(化学〈水銀〉、プロセス工学、医学〈胎児性水俣病、症状〉)、熊本県庁水俣病保健課〕からインタビューや講義を受けました。そして、連日夕食後から夜中まで、「水俣病がいまだに終わっていないのはなぜか」というテーマに基づき、水俣病の発生とその後解決が長引いている現状の問題分析、そして解決策をさぐる目的分析を、PCM(プロジェクト・サイクル・マネジメント)手法を用いたグループワークで議論を交わし、理解を深めました。 PART2は、その後の地域再生として、「もやい直し」から「環境首都みなまた」といった現在に至る宮本勝彬水俣市長のご講演、リサイクル企業の訪問、地域資源を活かしたものづくりの活動をNGOから伺うなど、「みなまた」の今をみる機会を得ました。2日間のグループワークでは、現在の「みなまた」の課題を纏めるとともに、経済発展と環境発展を見据えた「みなまた」の将来都市計画の提案を行い、国内外のツアーリストを対象としたエコツアリズムのパッケージ化や新エネルギーの導入といった環境リーダーらしい提案もありました。 アジアの環境問題を解決し、環境リーダーとしてこれからアジアを牽引していく彼らにとって、いまもなおアジアにおいて発生し続ける公害問題を解決するためには、技術力と分析力といった深い知識は勿論のこと、社会における様々な課題を実際にどのように解決していくのか、どうやって未然に予防するのか、地域再生・創成にむけた総括的な提案力・実践力が求められます。 参加した学生からは、「水俣病の抱える問題の難しさを実感し、今後これらの解決法や予防の知識を、自国の環境公害問題に活かしていきたい」、「地域再生の課題にどう向きあうか、今後も水俣を応援していきたい」といった前向きな意見が聞かれ、本ワークショップは今後につながる第一歩となる大きな成果を得ました。 アジアで二度と同じ過ちを繰り返さないために、この「MINAMATAUNIT」を修了した彼らが、深い知見のもと高い専門性をもって、アジアの公害問題の予防と地域再生、創成に取り組んでくれることを願ってやみません。グループワーク(PCM)の模様 東アジア環境ストラテジスト育成プログラム(EAESTP)http://eaestp.kyushu-u.ac.jp/jp/index.php*この演習にご支援ご協力をいただきました関係機関、各位に感謝の意を表し御礼を申し上げます。Webサイト『MINAMATA UNIT 2013』5大学合同ワークショップを水俣市で開催胎児性患者のみなさんとのふれあい天草倉岳にて患者より認定地域の説明をうける様子全体写真:不知火海をのぞむ渡船場にて東アジア環境ストラテジスト育成プログラム(EAESTP)〜アジアの環境問題を解決する「未来の環境リーダー達」が日本の公害問題の原点を学ぶ〜18  Kyushu University Campus Magazine_2014.1水俣病歴史考証館で説明をうける様子クローズアップ❸

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