九大広報Vol.93

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九大広報Vol.93

日本人学生を対象に、グローバル人材の育成を目指します九州大学法学部GVプログラム設置九州大学法学部GVプログラム設置九州大学法学部は、平成27年度から、日本人学生を対象に、グローバル人材の育成を目指して、英語による教育を重視した学士・修士一貫国際ビジネス法プログラム「GV(Global Vantage)プログラム」を設置します。GVプログラムは、法学部プラス修士課程(LL・M・)の実質5年間で、「グローバル・ローヤー」を育成します。ここでいう「グローバル・ローヤー」とは、「各国の法律家に互して、英語で交渉し、契約書を起草し、各国での法適合性を調査し、国際ルールの策定に参加するなど、国際ビジネスの最先端で活躍する人材」です。グローバル・ローヤー育成が望まれる社会的背景1980年代、多くの日本企業がその卓越した技術力を武器に海外に進出しました。海外拠点の設立や外国での企業活動の最前線で活躍したジャパニーズ・ビジネスマン、なかでも契約締結等企業法務の中心を担ってきたのは、「つぶしのきく」法学部出身者で企業派遣により海外の大学に留学してLL・M・(法学修士)などを取得した人材でした。彼らのカウンターパートは、弁護士資格を持つ外国人法律家で、中には修士や博士の学位を持ち高い専門性を備えた人々も少なくありません。これに対して、弁護士の人口に占める割合が圧倒的に少ない日本では(アメリカでは約250人に1人が弁護士、ドイツでは545人に1人なのに対し、日本は約4110人に1人)、弁護士資格を持たない人材が、実質的にローヤーとしての役割を担ってきたわけです。このような状況を背景に、日本でも弁護士の数、すなわち司法試験合格者数を増加させる政策が取られ、その中心的役割を果たす法科大学院制度が平成16年に創設されました。しかしながら、新司法試験合格者の多くは従来の弁護士業務に従事し、新たな分野に法律家として進出する人は一部に過ぎません。日本における企業法務は、相変わらず、その大部分が弁護士資格を持たない人材によって担われています。他方、少子高齢化により国内市場が縮小する日本では、大企業のみならず中小企業や地方公共団体など、グローバル化の波があらゆる分野に押し寄せ、グローバルに活躍できるローヤーはかつて無いほど、嘱望されています。新興国の追い上げにより、多くの日本企業が技術力の絶対的優位を保てなくなってきている現在、例えば知的財産に関する法的な自己防衛は必須です。海外進出や国際取引の際、相手国の法に照らして適法かどうか、調査する必要もあるでしょう。さらに、英語で論理的に主張し、相手を説得してwin-winの解決を引き出し、契約書などの文書にまとめる仕事は、まさしくグローバル・ローヤーの仕事です。従来の法学部教育と人材ニーズの変化これに対して、日本の大学の法学部では、法律の専門家ではなくいわゆる「つぶしのきく」132学部生とLL.M.学生による文化財特別ワークショップクローズアップ…1KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2014.05 17