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概要

九大広報Vol.94

国際コースを立ち上げる大学院の国際コースは順次開設していきました。一方、部局単位でほぼ完結する学府国際コースと異なり、学部で国際コースを走らせるためには、全学教育というコンポーネントが必要となります。その意味において、学士課程の国際コースのインパクトは大きいものがあります。部局横断型の全学教育のカリキュラムや海外の高校との関係など、関与する要素が広範に及ぶためです。新たな学士課程国際コースへの入学者を募るためにはどうしたらよいのか。対象は海外の高校生が大部分を占めます。海外では16か国50校以上の高校を訪問しました。必ず聞かれる質問があります。一つは奨学金制度の有無とその金額、もう一つは大学ランキングの順位です。これら海外での活動では、ハノイ、カイロ等に立ち上げた本学の事務所が活動の拠点として活躍しました。教育国際化への様々な試みG30では新たに雇用した外国人教員やコーディネーターに対する英語による※FD、若手教員を対象にした「英語による教授能力養成プログラム」、学内文書の英文化などさまざまな取組を行ってきました。また、学生の視点から国際化を考える「国際化学生委員会」は留学生と日本人学生の交流機会を増加させました(本誌92号を参照)。さらに、地域ネットワークとして九州・山口の大学を対象としたワークショップをシリーズ化しました。困難を乗り越えるこの5年間には当初予想もしなかった様々な出来事がありました。政権交代による事業の見直しではG30もいわゆる事業仕分けの対象となり、一時は存続すら危ぶまれました。アラブの春に端を発した中東での国際情勢の悪化も挙げられます。本学は海外大学共同利用事務所としてカイロオフィスを開設し、エジプトでの日本留学フェアを計画しましたが、エジプトの政変が幾度となくその計画を押し流してしまいました。東日本大震災は在籍する留学生や外国人教員の動揺、海外への影響が極めて甚大でした。これらに対しては柔軟かつ迅速な対応が求められ、直ちにタスクフォースを立ち上げて対処しました。さらに、教員が海外に出かける機会が多くなり、国際情勢の把握や危機管理はますます重要となりました。5年の変化本学の受入れ留学生は5年で飛躍的に増大しました。G30開始直前の平成21年5月の在籍留学生は1509人でしたが、平成25年11月には2108人と約600人増加しています。短期留学プログラム等で訪れた学生も考慮すると、平成25年度は約2400人の留学生となります。国際コースは2つの点で留学生の変化に寄与しています。一つは留学生数増加です。在籍留学生のうち546人(約26%)は国際コースに在籍しています。もう一つは留学生の出身地の多様化です。留学生総数の約56%は中国出身ですが、国際コースでは中国人留学生は大学院と学部を含め全体の約24%で、留学生の多様性の増大に貢献しています。プロジェクトを終了するこのように様々な取組を行ってきたG30ですが、最終年度はあっという間に訪れました。国際コースの開設・運営を主な軸とした大学の国際化は、本学だけでなくG30採択13大学全てにおいて大きなチャレンジでした。各大学が取り組んだ様々な試教育の国際化FD海外プロモーション活動での高校訪問の様子(インドネシア)クローズアップ56978KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2014.07 23※FD…Faculty Development(ファカルティ・ディベロップメント)。大学教員が授業内容・方法を改善し向上させるための取組。