ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

九大広報Vol.95

していけるように、視点を広げていきたいですね。特に中東や北アフリカには、リビア、シリア、アフガニスタンといった紛争国家がたくさんありますから、それらを含めた横断的な研究をしていきたいと思っています。指導するというよりも、一緒に学ぶ姿勢を大切に。――私は講義をやる上で、詰め込み型ではなく、学生が自ら学ぶ形に持っていこうと努力はしているのですが、先生が講義で大切にされていることは何ですか。山尾:政治学は教科書がいっぱいあって、15回の講義ですべて終わるように作られています。でも、その教科書は欧米の政治をベースに書かれているので、全ての地域にぴったり合うとは限りません。そこで教科書に書かれていることが途上国でどういう風に起こっているのかという話を交えながらやっています。アフリカや中東は遠い世界なので、学生もなかなかイメージが湧きません。ですから、自分が現地で実際に経験したことを、できるだけ講義の中に取り入れる工夫はしています。でも、試験の解答でよくできている問題は教科書に載っていることが多いので、私の話し方がまだまだなんだなと思わされますね。――大学院生と接するときに心がけていらっしゃることは何ですか。山尾:テーマや研究の方向については、できるだけ介入しないようにしています。それでも、いろいろ言っちゃいますけどね。私もそれほど経験を積んでいるわけではないので、一緒にディスカッションする姿勢は大切にしているつもりです。指導するというより、一緒に学ぶという形です。中東研究については、関東、関西にいくつか拠点がありますから、そこでの研究会や学会に連れて行くことが多いですね。――九州大学の学生にはどのような印象をお持ちですか。山尾:とても生真面目なので講義はやりやすいです。しかも、ほとんどの学生がきちんと理解してくれるので、教える方としても本当に助かります。九州出身で、大学を出た後も九州で就職するという手堅い人生設計を持っている人が多いのかな。試験をしても、良くも悪くも優等生的な解答が多いように思います。もう少し羽目を外すというか、おもしろい発想をしてもいいんじゃないかと思いますね。――九州大学そのものについてはどのような印象ですか。山尾:私は4年前に伊都キャンパスに来ましたが、静かに勉強できる、とてもいい環境だと思います。4年前に比べると、ずいぶんと建物も増えましたが、考え事をしたいときにはぶらりと散歩したりしていますよ。研究者にとっても最適な環境だと思っています。――最後に九州大学で学ぶ学生にメッセージをお願いします。山尾:一番自由な時間があるのは学部生の4年間です。ただ、4年間が終わってから、初めてそれに気づく人が多いんですよ。まとまった時間を使って古典を読むだとか、あるいはバックパックを抱えて世界を見て回るだとか、その時にしかできない貴重な経験をぜひやっていただきたいですね。私は学生時代にバックパックは担ぎましたが、もうちょっといろいろな本を読んでおけばよかったな、と後悔しています。ひとつの分野に絞り込まずに、いろいろな本を読んで、もっと教養を広げてください。▲聞き手の都留寛治准教授(左)とともに▼山尾講師の研究室のある比文・言文研究教育棟12 KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2014.09