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概要

九大広報Vol.95

――ほかにも有機ELの最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)やマス・フォア・インダストリ研究所など、さまざまな研究施設が設置されましたね。有川:有機ELについては、安達千波矢主幹教授の卓越した研究によって、究極のところまで来たと言えるでしょう。マス・フォア・インダストリ研究所は、この種の研究所としてはアジア初のものですが、文部科学省共同利用・共同研究拠点の認定も受けて活発な研究活動を展開しています。これらは、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所を含めて、まさに世界の研究拠点となっています。基幹教育導入で育てるアクティブ・ラーナー。――新しい学府の創設にも取り組まれました。有川:組織整備面では、統合新領域学府や地球社会統合科学府をスタートさせました。統合新領域学府は、ユーザー感性学専攻、オートモーティブサイエンス専攻に加えて、ライブラリーサイエンス専攻があります。これは日本でも例がない画期的な専攻で、大学の図書館職員が学生にも教員にもなるというものです。――教育面で取り組まれた改革についてお話いただけますか。有川:大学教育においては、入学直後の学生に対して、どのような教育をするかが一番大切と考えております。20年ほど前から、全国の大学では、次々と教養部を廃止してしまいましたが、本学では平成23年10月に基幹教育院を新設して、この4月に入学した学生を対象に「基幹教育カリキュラム」をスタートさせました。考え方を学び、学び方を学ぶことによって、学ぶための背骨をしっかり作っていこうという、新しい視点から教養教育に取り組んでいます。――学ぶための背骨ができれば、より自発的に学ぼうとするし、大学を出てからも生涯学んでいくことができるということですね。 有川:学ぶ背骨を作れば、生涯を通して自律的に学び、知識人としても人間としても成長し続けるアクティブ・ラーナーとなれるのです。これから社会に出ようと、大学院に進もうと、どこに行っても「勉強の仕方を知っている」ということが一番大切です。そうすれば、世の中がどう変わっていこうと、その変化に対応できる人間になれます。そのきっかけを作るのが、入学してすぐに行われる「基幹教育」なのです。――4月から実施されて、学生に変化はありましたか。有川:明らかに学生たちの意識が変わりました。基幹教育の狙いは、学びのモードを変えるこということです。学びのモードを変えるには、同時に教える側も変わらなければなりません。今までのように、大きな教室での一方向の教え方だけではなく、教える側と学ぶ側の双方向性がより重要となってきます。そして、学び方に正解はありません。正解は学ぶ人それぞれが自分たちで見つけていくのです。入学して早々にそれに気づくことによって、その後の勉強の仕方や研究の仕方が変わっていくわけです。基幹教育で、考え方・学び方を学ぶことによって生涯を通して自律的に学び、知識人としても人間としても成長し続けるアクティブ・ラーナーとなれるのです。15%15%KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2014.09 05