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概要

九大広報Vol.96

医療事故が起きないような努力は最大限していましたが、起こった後の対処もいかに大事であるかを痛感しました。誠意ある対応をしたことで、患者さんのご家族に納得していただきました。国際的に教育・研究・診療をリードする大学に。―― いよいよ総長としてのお仕事が始まりましたが、総長として掲げた九州大学の将来ビジョンなどを改めてお聞かせください。久保:病院長時代に比べて仕事の規模が格段と大きくなりました。大学全体をいかに見ていけるかが大事だと思います。総長に立候補するにあたっては、文系、理工学系、農学系の各部局の取組を勉強しましたが、すべての部局が発展するようにしていかなければなりません。また、総長就任にあたり、5つの将来ビジョンを掲げました(7ページ参照)。特に、教育において学生たちには、本年度よりスタートした「基幹教育」の中で「学び方・考え方を学び」、専門分野の学びへと移る前の基礎的な力を醸成してもらおうと思います。また、研究においては、個々の自由闊達な研究活動を大事にするとともに、基礎研究を支援し、新たな学問分野を育んでいく考えです。そして何より、未来を拓く若き研究者たちが希望を見出せる大学をつくりたいですね。さらに、診療においては、基礎研究の臨床への展開を積極的に推進し、九州大学病院が西日本地域の中核病院として、そしてアジアに開かれた国際的な医療機関として、その使命を果たしていきたいです。これから、九州大学が世界の有力大学と伍する大学になるために、各部局と常に対話をしながら信頼関係を築いていくことが大切だと考えています。―― 九州大学としては国際化への取組を積極的に行っていくことになりますね。久保:この9月に、「伊都協奏館」と「ドミトリー3」という新しい学生寮が伊都キャンパスに完成しました。ここでは留学生と日本人学生が一緒に生活をしていきます。日本人学生の海外留学を推進・支援するシステムも充実していますが、九州大学基金を活用してこれを更に展開していきます。私が総長になって初めて行った仕事は、10月2日の秋季入学式でした。入学した約370人のほとんどが外国人留学生ということもあり、式はすべて英語で行うようにしています。これからも、国際化をどんどん進めていきたいですね。―― 実際に留学生の数もずいぶん増えましたね。久保:現在の学生数は1万9千人近くですが、そのうち留学生は約80カ国、約2千人に達しています。全学生の1割強が留学生ということですね。私自身も、多くの留学生と接する機会が増えることを、とても楽しみにしています。―― 先生は、そうやってどんどん若返っていかれるのではないですか(笑)。久保:いやいや、年齢的には下り坂ですからね(笑)。若い人たちと接することで、精神的には若くなれる気がしています。―― 私も久しぶりに伊都キャンパスに来ましたが、来るたびに新しい建物が増えて、とても誇らしく思えます。久保:広々として空気もきれいで、すばらしい環境だと思います。有川前総長に案内していただいて伊都キャンパスを回りましたが、端から端まで約3キロメートルあります。平成30年度の完成を目指しており、そのときには1万9千人もの学生・教職員がここに集まることになります。―― ひとつの市町村といった感じですね。久保:そうですね。学生・教職員の人数や大学の予算規模などを考えると、市町村のようでもありますね。――では、最後に在学生を含めた若い世代の人たちに向けて、総長としてのメッセージをいただければと思います。久保:九州大学は、百年以上に亘る歴史の中で日本の教育・研究・診療をリードしてきました。これからも、国際的にリードしていく大学となれるよう、学生・教職員みんなが一緒になって進んでいきたいですね。特に学生たちには、学問と真摯に向き合い、学ぶことの喜びを実感し、さらに自身を見つめること、すなわち「自分とは何なのか」「何をしたいのか」と、『主観を磨く』ことを語りかけていきたいと思います。 そして、九州大学のみなさんが自分の夢をしっかり持って、その夢に向かって突き進んでいただきたいと思います。06 KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2014.11