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概要

九大広報 Vol.98

中村:ひとつの課題に対して、みんながいろんな角度から物事を考えていくこと自体、高校では経験がない授業でした。理系の人たちは理系の観点で考えようとするし、文系の人たちは文系の観点から考えようとしていて、それぞれの観点の違いを知ることができただけでも新鮮でしたし、おもしろかったですね。丸野:違う学部の人とひとつのテーマについて考えようとすると「正解とは何なのか」、「正解は何で決まるのか」、「正解ってあるのかな」という思いになりませんでしたか。真部:私は理系なので、数式があって答えがあるような問題ばかりをやってきましたし、社会に出ても、より良いものを求めていくことが正解だと思ってきました。でも、文系の人たちと接することで、裏側にある社会的な背景とか、消費者の気持ちとか、そういう観点を含めて考えないと自分たちの正解に近づかないんだなと実感しました。理論的な考えだけではなくて、倫理的、感情的な側面から考えることも増えてきたように思っています。丸野:正解というのは、相手の視点や観点が定まらない限り決まりませんよね。Aという視点に立つのとBという視点に立つのとでは、まったく違う考え方が見えてきます。視点や観点が定まらないと正解は決められないし、違う視点から見ることで考える幅や深さも変わってくるのです。つまり、基幹教育セミナーや課題協学科目では、自分の視点から発言するという意味で何を言っても構わないわけですよ(笑)。視点がたくさんあればあるほど、考え方の多様性を学ぶことができるし、それが大学のおもしろさなんですよ。江頭:私は、無意識のうちに自分の中の常識や考え方以外は受け付けなくなっていることに気づかされました。セミナーや課題協学を通して「今までは思いもしなかったけど、そういうこともあるんだ」というのを何度も経験したことで、自分の考え方がすごく広がったと思います。基幹教育で自分自身の夢を見つめ直すことができた。青野:同年代の学生でも学部学科ごとに違う考え方をもっているということが衝撃的にわかったのが基幹教育だと思いますが、セミナーや課題協学での体験談を少しお話してもらえますか。真部:(パソコンを開いて)これは基幹教育セミナーで作った発表用のスライドです。発表したのは6月なんですが、ちょうどその頃「自分は何がしたいんだろう」って一番悩んでいたんです。大学に入って環境がガラリと変わったことで、自分自身のことがわからなくなったんですよ。発表のタイトルは「自分にとっての学び」だったのですが、小学生のころから何を学んで、高校時代にどういう思いを抱いて九州大学に進んだのか、それを自分なりに整理することで、自分自身を見つめ直すことができました。発表で人の考え方やこれまで歩んできた道の話を聞くことも、本当におもしろかったですね。丸野:高校までは「私がやりたいことは何なのか」と真剣に考えることはなかったと思います。敷かれたレールの上を必死に走っていくだけですよね。自分で悩み苦しんで、自分の頭で考え、それを自分の声で発表して、進むべき道を自分で決める。すべてが自己決定なのです。大学とはそういう場所なんだよ、と気づかせることも基幹教育の大きな狙いなのです。江頭:私も同じようにスライドで江頭 史歩(21世紀プログラム1年)以前から歴史が大好きな江頭さんは「博物館に関する仕事に就いて、いろんな視点から博物館のおもしろさをたくさんの人に伝えていきたい」と語ります。真部 魁人(工学部1年)宇宙開発の仕事に就くことが目標。夢は「自分が開発に関わった宇宙船で宇宙に行くこと」。若田光一さんに続く九州大学2人目の宇宙飛行士が生まれるかもしれません。KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2015.03 11