ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

九大広報 Vol.98

の発表をしましたが、いざ準備をしようとしたら、どれをピックアップすればいいのかわかりませんでした。ここまでの人生の中で、どこが大事で、どこをみんなに伝えたいのか、すごく悩みました。でも、自分でセレクトすることによって、自分にとって何が大事かを認識できたのはよかったです。プレゼンすることで、自分のダメなところもわかったし、ここは伸ばしていけばいいという点を整理できたと思います。フィードバックしてくれた感想の中に「私もこの学部でどうしていきたいか悩んでいる」というものがあって、悩んでいるのは自分だけじゃないって思うことができたことも大きかったですね。青野:セミナーで人の発表を聞くことで「自分はどうなのだろう」と問い始める人もいますよね。でも、大学に入ってすぐの時期だからこそ、そうやって問いかけ考えること自体が重要なんですよね。丸野:今年入学する新入生も基幹教育セミナーで発表することになりますが、どんなに上手に伝えようとしても、人それぞれに価値観が違うから、完璧に伝えられるはずはありません。いろいろな人からアイデアをもらって、自分なりに整理して発表する体験こそが大事。表現や文章は二の次で、訴えるべきもの、つまり自分の思いや考えをどれだけプレゼンできるかが大事なんです。青野:教員としては、発表のテクニカルな部分も重視しているのですが、テクニカルに完璧でない発表でも、その人の思いが伝われば印象に残りますし周りの反応も大きいですよね。中村:高校時代は「どの大学に行こうか」「この大学に行きたい」という考えで精一杯で、いざ大学に合格すると、その考えが完結してしまいます。大学に入って、漠然と自分の夢について考え出すのですが、基幹教育セミナーで「自分の夢は本当にこれでいいのか」ということを見つめ直すことができました。自分では「経済学部で数学も得意だから会計士になろう」と思っていたのですが、他学部の学生と話をすることで「自分にはもっとほかの道があるんじゃないか、経済学部という枠から逸れたっていいんじゃないか」と考えることができたんです。プレゼンも動画を駆使して人を惹きつける人もいましたし、自分と同年代なのにゲームを作る具体的なプランをもっている人もいて、感心させられる部分がいっぱいありました。とてもいい刺激になりましたね。丸野:自分の生き方に対する真剣さが変わってきましたか。中村:はい、それはすごく変わりました。これまでは周りに親とか担任の先生がいて、そういう人たちのサポートやアドバイスで道が決まっていましたが、大学は自分から行動を起こして自立していくことが大事なんだと実感できました。青野:それこそがアクティブ・ラーナーとして一歩を踏み出しているということですよね。丸野:まさしくそうですね。何よりも自分への気づきがあったことは大きな意味があったということですね。自分から先生の部屋を訪ねる。それこそが大学の学び。青野:みんなでディスカッションしながら考えたり、あるいはグループの中でリーダーシップを取りながら物事を考えていくという点では、課題協学というものがあります。ここからは課題協学についての感想を聞かせてください。中村:私たち学生の間では賛否両論あります。先生方が投げかけるのではなくて、通常の講義と変わらないところがあるように感じました。丸野:課題協学も講義と演習の組み合わせであるはずですが、講義の方が強いという印象だったのかな。特別座談会Special Roundtable Discussion中村 孔亮(経済学部1年)糸島の地域活性化のためのサークル「iTOP」で活動中。「会計士になろうと思っていましたが、今はフィナンシャルプランナーなど目標の幅が広がった」と語ります。12 KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2015.03