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概要

九大広報 Vol.98

中村:それは先生によって違います。丸々3時間をボクらの演習のためにくれる先生もいれば、「どう思う?」と聞いてはくれるけど意見を交わすディスカッションの時間があまりないこともあって、国語の試験のように感じたことはありました。江頭:私も同じように感じることがありました。青野:学生にやらせるだけでもダメですし、どのようにディスカッションをさせるか、その難しさを感じている先生は確かに少なくないようですね。丸野:課題協学は、専門分野の異なる3名の教員がひとつのクラスを担当しますから、ひとつのテーマについて3つのアプローチを学ぶことができるわけですよね。それだけに、みなさんにとっては教員を比較しやすいということがあったかもしれません。でも、大学の教員というのは、ずっと付き合ってみると「何か光るものをもってるな」と思えるものなんですよ。大学の教員は、自分がこだわっている学問世界があるから、高校までの先生とは違う何かを必ずもっているはずです。真部:そういう意味も含めてなのですが、ボクらの基幹教育セミナーでは、先生ご自身も「私(先生)にとっての学び」というのをプレゼンしてくれました。どういう理由があってこういう仕事をしているという、先生のバックグラウンドを丁寧に説明してくれて、その上で学生に「考えて」と言われたので、すごくよかったです。でも、課題協学では先生に対して表面的な印象が残りました。青野:セミナーでは、教員も積極的に自分を開いていって学生と対話する機会が多いですよね。課題協学では課題となるテーマについての議論と対話が中心になるので、セミナーとは異なるアプローチになりますね。丸野:教員には今の学問水準の中で「ここまで教えなきゃいけない」という思いが強いのかもしれませんね。テーマについて教えることを通して、学生に学び方、考え方、多様なアプローチを身につけさせるところにゴールがあるのだと、各教員がおおきく認識を変える必要がありますね。江頭:ひとつのテーマで3つのアプローチというのはいいと思うのですが、私はもっとひとつのアプローチについてディスカッションしたかったですね。3つだとそれぞれが中途半端で終わってしまう気がします。先生がご自分の専門からのアプローチで教えてくださるので、深いところまで学べるところや議論するところはよかったのですが、時間的にくすぶったままで終わってしまうことも多かったです。丸野:そう感じた時点で、その教員の研究室のドアをノックすればいいんですよ。「もっとこれについて知りたいんですけど」って、自分が感じたものをもっていけば、教員は喜んで受けてくれますよ。それこそが大学の学びだと思います。ひょっとしたら、学生が噛みついてくれることを期待して、表面的に教えているのかもしれませんよ(笑)。真部:なるほど?。確かに、そういう見方はしていませんでした。江頭:そうですね。噛みついていけばよかったですね(笑)。丸野:教員の中には意図的にそうしていらっしゃる方もいるかもしれません。青野:課題協学の最後の合同授業での感想を読んでみると、3つの講義それぞれについての意見、最初の印象と実際に受講した後の考え方の違いなど、学生の総合的な判断も垣間見られました。今日のみなさんの感想も含めて、次年度の基幹教育の改善につなげていきたいですね。丸野:みなさんは基幹教育の中で食べ足りなさを体験したのですから、専門教育ではその体験を活かして、教員にどんどん噛みついていってください(笑)。青野:では、課題協学のよかった点は何ですか。真部:課題協学では、情報収集してディスカッションして、スライドでまとめたものを発表するという流れでしたが、その流れの中で、それぞれの学生の得意不得意が見えてきます。自分は集まった情報をまとめて発信するという点は得意ですが、情報収集は苦手だとわかりました。図書館に行っても自分がほしい情報を見つけられないんです。チームをまとめるのがうまい人がいたり、ディスカッションが苦手な人がいたりして、そういう気づきがあったことはよかったと思います。江頭:確かに自分の得手不得手は顕著に出てきますよね。青野:今日集まっていただいたみなさんは発信するのが得意な人ばかりですが、中には自分からすすんでに意見をいうことをためらう学生もいますよね。江頭:とにかく話しかけていくことが大切だとわかりました。それと、3回の授業ごとにグループが変わるので、臨機応変に自分がすべきことを見つけていく力はついたと思います。丸野:理系の内容も入ってきますが、そういうテーマは文系の学生から見てどうでしたか。中村:最初はやっぱり抵抗がありましたね。でも、先生と学生ではなく、学生と学生の間で進めていくので、理系の学生が親しみやすく「これはこうだよ」と教えてくれたので、すごくやりやすかったですね。丸野:異分野の人たちと交流しながら授業を進める大事さは感じてくれましたか。一同:はい。KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2015.03 13