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概要

九大広報 Vol.99++

「水素社会」の具現化・見える化●太陽電池または風力発電機で、再エネ発電●再エネ電力で水電解し、水素で蓄エネ●再エネ水素をFCVに充填(ゼロエミッションモビリティ)モビリティ実証用の燃料電池車水電解装置設置(水素ステ-ション内、水素タンク等の付属設備も含む)太陽光パネルによる再エネ発電と水電解式水素発生装置(直流)への接続(水素ステーションおよびHY30棟屋上設置)エネルギ-可視化システム(水素ステ-ション前に設置、水素ステ-ション内部も可視化、実証燃料電池の発電状況も表示)風力発電機による再エネ発電と水電解装置(交流)への接続(水素ステーション横設置)表示モニター水素は地球を救う次世代のエネルギー 地球温暖化問題は、年々深刻化しています。大気中の二酸化炭素が増えることで、温室効果が上がり、地球の平均気温は上昇する一方です。 このまま温暖化が進めば、台風などの災害が増え、海面上昇によって低い土地は失われてしまいます。また、異常気象による生態系の破壊や食糧難といったリスクを背負うことになります。二酸化炭素の排出量の削減こそが、これからの地球に必要なのです。 石炭や石油に代表される化石燃料は、世界の産業の発展に大きく貢献してきましたが、同時に多くの二酸化炭素を大気中に排出してきました。そこで次世代のエネルギーとして注目されているのが、水素と空気中の酸素を化学反応させることによって電気と熱を作り出す水素エネルギーです。 長年、水素エネルギーの研究に携わってこられた佐々木センター長は、次のように語ります。 「水素エネルギーに関しては、日本はとても進んでいて、2009年に家庭用燃料電池であるエネファームが発売され、2014年12月には燃料電池自動車の市販が始まりました。2017年には事業所や工場などで使える大型の燃料電池が実用化される予定になっています。いずれはバスなどの公共の乗り物にも水素エネルギーが使われることになるでしょう。化石燃料から水素ガスを作る時には二酸化炭素も発生しますが、水素を介した燃料電池の発電効率が高いので、同じ量の電気を作るために必要な燃料を減らすことができ、結果的に二酸化炭素の排出量を減らすことができます」 また、佐々木センター長は、経済的な観点からも水素エネルギーの必要性を語ってくださいました。 「日本が輸入しているエネルギーの代金は毎年約27兆円もあります。私たちが普段支払っている消費税の1%分が2.7兆円ですから、その10倍もの額を毎年、エネルギーの輸出国、つまり海外に払っていることになります。さらに、国内で電気を作っている発電所では、その際に発生する排熱のほとんどを捨ててしまっているのです。これから大事になってくるのは、いかにエネルギーのムダを減らすかということです」 水素エネルギーの一般普及型でもあるエネファームは、都市ガスのエネルギーの約4割を電気に換えて、同時に発生する熱でお湯を沸かすので「ムダになるものが5%しかない画期的なシステム」だと佐々木センター長は語ります。 「地球温暖化問題は、次の世代、そのまた次の世代に快適な環境を残すためにも、私たちが真剣に取り組まなければならない問題です。太陽光発電や風力発電からの変動しやすい電気を水素ガスにして蓄えることで、再生可能エネルギーを使いやすくすることもできます」▲運転時のエネルギー収支を示す「MIRAI」の液晶パネル。「MIRAI」は排気ガスの代わりに水しか出しません。▲水素エネルギーなどの新しい技術に対して常に新しい芽を出し続けることが大学としての使命。04 KYUSHU UNIVERSITY Campus Magazine 2015.07