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全国的なレベルでの「大学改革」 の潮流は,平成3年の文部省令の改正による「大学設置基準の大綱化・ 簡素化」が契機となって,一気に大きくなりました。
これは,学部教育などのカリキュラ ムや取得単位についての画一的な 規制を大幅に緩和し,大学の自主決 定に任せるというものでした。この規制緩和は,入学後1・2
年次前半の教養教育,2年次後半以降の専門教育という分離の壁を取り払い,さらに進んで教養教育を専ら担当する教官の組織である「教養部」の解体をもたらすことになりました。
さらに,平成3年度から開始された,大学院の整備・充実による教育・研究における「大学院重点化」の動きは,東京大学や京都大学をはじめとする基幹的国立大学を席巻していきました。
九州大学では,こうした全国的な潮流と時を同じくして,「大学改革」 を推進するもう一つの強い渦流が生じました。
平成3年10月に,福岡市西区元岡・桑原等地区を移転候補地とする「九州大学新キャンパス移転構想」が 評議会で承認されたのです。当然,新しいキャンパスは全面的な
「大学改革」を空間的に実現するものとして構想されなければなりません。全国的な改革の流れと歩調を一にする「九州大学の改革」ではなく,移転のタイムスケジュールに合わせ,かつ新設されるキャンパスが長期間使用されることから長いタイムスパンを見据えるとともに,教育・研究,管理・運営,社会との連携など全分野にわたる改革を要請されることになりました。
九州大学はこうした要請に対応して,平成4年6月に「九州大学における大学改革の基本構想」を評議会で審議・承認するとともに,翌5年6月に,学部長・
研究科長・研究所長など部局長によって構成される将来計画小委員会のもとに改革のあり方を検討する 専門委員会を作り,約2年の議論を経て,平成7年3月に「九州大学の改革の大綱案」,5月に「続・九州大学の改革の大綱案」を評議会で承認しました。
「大綱案」は,「国際的・先端的研究教育拠点(COE :Center of Excellence )の形成」と「自律的に変革し,活力を維持し続ける社会に開かれた大学の構築」の二つを基本的なコンセプトとし,その実現のために「組織の再編・整備」「教育・
研究の改革」「管理・運営の強化」 の三つの側面から多面的な改革案を提示しました。なかでも,「全学の大学院の重点化」と「研究院制度」の導入は,改革の中核的位置を占めていました。
「九州大学の改革の大綱案」は,大学が自ら策定した改革の長期計画で,こうした長期計画の策定は全国の国立大学でも余り例を見ない 先駆的なものです。それだけ「移転」が全面的かつ迅速な「改革」の推
進を要請したとみることもできます。
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