協定校紹介

ソウル大学校(大韓民国)

応用力学研究所長 教授 小寺山 亘

 九州大学は、2001年8月にソウル大学校との間に大学間学術交流協定と学生交流協定を締結しました。この機会にソウル大学校の概要と協定締結の経緯について紹介します。

 ソウル大学校は名実ともに韓国を代表する大学です。1946年10月15日に9単科大学(日本のシステムでは学部に相当)と1大学院、教官491人、学生4500人の韓国で最初の国立大学として設立されました。その後の半世紀で拡充され韓国の発展の原動力となってきました。現在は16単科大学、1通常大学院、4特別大学院、23の大学付置研究所(別に単科大学付属44研究所があります)で構成される韓国最高峰の国立大学となっています。現在の教官数約1,550人、学生数31,000人(大学生23,000人、大学院生8,000人)で、九州大学の教官数1,371人、学生数14,741人(大学生11,515人、大学院生、3,226人)と比べてもその規模の大きさがよく分かります。

ソウル大学校迎賓館での記念品交換風景
図書館内の学生
自習室のパソコン端末風景

 キャンパスは3つのキャンパスに分かれており、冠岳キャンパス(メインキャンパス)には4.3km2の広大なキャンパスに11単科大学、4大学院、28研究所(単科大学付属も含む)、その他の支援施設があります。蓮建キャンパスはソウル市内中心部にあり、2大学院、3単科大学、大学病院があります。さらに水源キャンパスはソウルから40km離れており3単科大学、実験農場、獣医科病院があります。

 1946年に設立されて以来、半世紀以上の間、韓国随一の研究設備、教授陣を配置して、高い教育、研究水準を維持してきています。その卒業生はすでに約20万人にのぼり、政、財界のみならず韓国社会のあらゆる分野においてリーダーとして活躍しています。

 九州大学とソウル大学校の交流は正式な記録はありませんが古くから活発であったものと思われます。九州大学機能物質科学研究所の機械系熱工学関連分野の教官はソウル大学校機械系教官と活発な研究交流を続けてきました。また、最近では九州大学人文科学府とソウル大学校師範大学との間で交流協定、さらに双方の図書館の間で出版物の交換を含む協力協定が締結されています。この度の大学間交流協定はこれらを集大成し、より機能的・総括的に大学間交流を行なうために締結されました。

 その直接の契機となったものは、前述の交流実績に加えて、応用力学研究所が行なっている日本海の観測研究です。応用力学研究所が中心となって日本の大学の研究者、ロシアの極東海洋研究所、韓国のソウル大学校、海洋研究所などと日本海の観測を共同で10年以上行なってきました。その観測船上でソウル大学校の海洋関係の研究者と応用力学研究所の海洋理工学研究者がぜひ今後も協力関係を密にしていきたいと双方の願いが一致した結果、大学間交流協定に発展したものです。観測船の上で毎年2週間以上も寝食を共にして行なった議論を基に計画したことですから、多くの困難(教科書問題、靖国問題)を乗り越えて実現できたと思っています。また杉岡前総長と国際交流課の非常な努力も大きな要因であったと思います。特に杉岡前総長の強いリーダーシップが最後の山を越す原動力となりました。

 今度の協定締結にあたってソウル大学校を訪問して改めて感じたことは、ソウル大学校では学生は極めて大事にされているということです。写真は図書館に用意されている学生の勉強用のスペースですが、非常に広いスペースに閲覧用の机、パソコン端末などが見渡す限り配置されています。私の知る限り日本の国立大学でこれほどの設備はありません。また学生も試験期間が終わったばかりであるにもかかわらず多くの学生が熱心に勉強している姿に感心しました。学生寮も4000人を収容できるだけ用意されているそうです。九州大学では700人弱です。研究面はともかく教育面ではソウル大学校から学ぶことが多くありそうです。ソウル大学校の研究者からは九州大学は世界に開かれた研究拠点として高い評価を得ているように思います。お互いの長所を生かしながらの実質を伴った交流が期待できそうです。

(こてらやま わたる 海洋工学)

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