シリーズ:世界のキャンパス
Aマルク・ブロック大学(フランス)
九州大学の学生交流協定校は世界中にあり、多くの学生たちが授業料免除、単位互換を原則に交換留学をしています。 このシリーズでは、留学を経験した学生が、留学先の協定校をご紹介します。 (交換留学に関するお問い合わせは、国際交流推進室092-642-4323へ。)

フランスでの留学生活

文学部4年 柴田 菜々子(しばた ななこ)

上段左から2番目が柴田さん
ストラスブールはドイツとの国境沿いにあるフランス北東部の街です。そう大きくはない街ですが、過去2度ドイツ 領になったというその歴史的背景から欧州議会が置かれ、現在ヨーロッパ政治の一つの拠点として注目されています。

私は2002年9月から翌年6月までこの街に交換留学生として留学していました。来た当初は仏語の勉強に大忙しでし たが、映画やオペラ、おいしいパン・ケーキ探索の散歩などにはよく出かけました。大学は街の中心に近く、大学の 講堂でオーケストラの演奏会や演劇会が開かれることもありました。

今は遠く離れたストラスブールを思い出すときに、必ず私の心に浮かぶのは「川」の風景です。その悠々と静かに 流れ続けるイル川やライン川の運河の流れはフランス独特のゆったりした時の流れを、またその傍に並ぶ木骨組みの 家々はドイツの荘厳さを思い起こさせます。街の至る所から見えていたカテドラル(大聖堂)も印象的でした。

私の仏滞在中はSARS感染拡大やイラク戦争勃発で国際情勢が不安定になった時期でもありました。 しかし、そういう状況下でフランス独自の物事の「語られ方」をメディアや友人との会話 などを通じ肌で感じることができたのは、貴重な体験だったと思います。

留学をすると今まで気づかなかった「日本」も見えてきます。それはどちらがいいといった二元論ではない「多様 性を受け入れ、楽しむ」という精神を与えてくれます。みなさんも、まだ知らないフランスと「日本」を探しに留学 されてはどうでしょうか。

ストラスブールの大聖堂
マルク・ブロック大学

哲学・文学・歴史・神学・言語・社会学から芸術・スポーツまで様々な分野にわたる人文・社会科学を扱う大 学。同じキャンパスにある法学系のロベール・シューマン大学、医学系のルイ・パスツール大学とともにストラ スブール・コンソーシアム(大学連合)を構成し、互いに独立性を保つ一方で学際的な動きも見せている。

16世紀に創設された学校を起源としたフランスでも有数の伝統的な大学であるが、2度ドイツ領土になったとい うアルザス地方の歴史的経緯から留学生を積極的に受け入れるなど、国際的な特色も有する(総学生38000人のう ち15%が海外からの留学生[2000年データ])。パリに次いで留学生が多いとも言われ、付属の語学学校や留学生 向けのフランス語授業開講などで留学生のさらなるフランス語力向上にも努めている。

またフランス内外を問わず様々な国や地域の文化の演劇や映画・音楽などを大学の講堂 で楽しむイベント企画も充実している。歴史や文化、国境を自由自在に越えて学問をする 楽しみがこの大学にはつまっている。

編集後記

キャンパスの秋はいつもより駆け足で走り抜けて行くようである。元岡・桑原地区では、新キャンパス建設 の槌音が一層高く響く今、大学法人化という未知の航海への出発が目前に迫ってきた。研究活動に使える時 間は減少していることが、文部科学省の実態調査によっても明らかとなっている。今日の時の流れを新生の 活力の歓びに繋げたいものである。

(編集委員 前田 稔)

特集インタビュー「世界で活躍する九大人」は如何でしたか?真の社会活動とは何か?真の学術研究とは どんなものなのか?お二人の話は、いま九大で学ぶ皆さんにも大いに参考になると思います。お二人に共通 する部分、それは何よりも今取り組んでいることへの情熱でしょう。情熱は、他者の目を意識したり、第三 者のおざなりな評価からは生まれません。自分はいま何をすべきか?何が出来るのか?を真剣に自問するこ とからしか生まれないのです。

(編集委員 静永 健)

先回の九大広報は、十月一日付けで九州大学と統合した九州芸術工科大学の研究教育の内容やその水準の 高さに関する情報が掲載されており、大変インパクトの高いものであった。今回の広報では、教育版COE に採用された二十一世紀プログラムの紹介が目を引いた。さらに中村 哲氏の社会的活動にも九大人の誇り を感じられた方も多いことだろう。次回も充実した九大広報を送りたいと願っている次第である。

(編集委員 熊谷 秋三)

研究室に泥棒が入り、備品のプロジェクターや大学院生のパソコンが盗まれた。パソコンを盗まれた学生 達は、インターネットオークションに盗品がかけられる可能性に思い至り、パソコンの画面を交代で見張っ た。その読みは見事適中し、数日うちに学生達のパソコンを始めとする大量の盗品がヤフーオークションで 見つかった。ここからが大変であったらしい。「証拠がないと手の打ようがない」と警察でも相手にされな かった。学生達は、身銭を切って自分のパソコンを落札し、警察に持ち込んだ。こうして容疑者の逮捕に至っ た。その後の取り調べで、容疑者は農学研究院のみならず医学研究院、工学研究院の研究室からもパソコン や現金を盗んだことが明らかになった。さらには、三年前から同様の手口で全国二十二の国立大学で盗みを したと自供しているという(十月二十三日付け朝日新聞)。大学には、お金で買えない貴重なデータ(知的資 源)が存在する。九大広報などの広報活動も含めて、大学の知的資源を社会へ適切な形で公開・還元するこ とは、大学の使命である。また、特許等によって知的資源を法的に保護していくことも重要である。それと ともに、大学のセキュリティー管理がいかに大切であるかを今回の事件から思い知った。大学全体としてセ キュリティー管理の問題に真剣に取り組むと共に、移転を予定している新キャンパスでは設計の段階からそ の問題に十分な配慮がなされることを望みたい。

(編集委員 伊東 信)


前のページ ページTOPへ 次のページ
インデックスへ