四月一日(木)、全国の国立大学が法人化され、九州大学は、国立大学法人九州大学が設置する大学となりました。
 法人体制下の九州大学は、総長のリーダーシップのもと、役員会(総長と理 事で構成し重要事項を議決する)、経営協議会(経営面を審議し委員の半数で ある十三人が学外有識者)、教育研究評議会(教育研究面を審議し学内代表者 で構成)が中心となって自主的、自律的な大学運営・経営を行っていきます。
 四月一日(木)には、第一回の役員会と教育研究評議会が、四月二日(金)に は第一回の経営協議会が開催され、新しい九州大学が動き出しました。


役員名簿
●総長
氏名現職備考
かじやま ちさと
梶山 千里
九州大学総長 

●監事
氏名主な任務備考
やりみず やすふみ
鑓水 恭史
業務監査現職:(株)産学連携機構九州
代表取締役社長
非常勤(H16.7.1から常勤予定)
しのはら たかし
篠原 俊
財務監査現職:篠原 俊事務所所長
(公認会計士、税理士)
非常勤

●理事
氏名主な任務備考
なかの ひとお
中野 仁雄
企画・研究・財務副学長を兼ねる
ありかわ せつお
有川 節夫
キャンパス副学長を兼ねる
しばた ようさぶろう
柴田 洋三郎
教育副学長を兼ねる
こてらやま わたる
小寺山 亘
産学連携副学長を兼ねる
いまにし ゆういちろう
今西 裕一郎
広報・情報・図書館副学長を兼ねる
やなぎはら まさはる
柳原 正治
国際交流・留学生副学長を兼ねる
はやた けんじ
早田 憲治
総務事務局長を兼ねる
わたなべ ひろゆき
渡辺 浩志
大学構造改革学外者理事
現職:ゼオン化成(株)専務
非常勤(H16.7.1から常勤予定)

九州大学経営協議委員会名簿
平成16年4月1日現在
区分氏名所属等
総長梶山 千里 
理事
(総長指名5名)
中野 仁雄 
有川 節夫 
柴田 洋三郎 
小寺山 亘 
早田 憲治 
病院長水田 代 
部局長
(部局長会議において選出6名)
植田 信廣(箱崎文系地区)
前田 三男(箱崎理系地区)
小田垣 孝(   〃   )
山本 健二(病院地区)
森 茂太郎(六本松地区)
筒井 哲夫(筑紫/大橋地区)
学外有職者
(13名)
麻生 渡福岡県知事
安西 祐一郎慶應義塾長
石原 進九州旅客鉄道(株)代表取締役社長
鎌田 迪貞九州電力(株)代表取締役会長
倉地 幸徳(独)産総研年齢軸生命工学研究センター長
近藤 秋男全日本空輸(株)最高顧問
重渕 雅敏東陶機器(株)取締役会長
瀧山 龍三福岡教育大学監事
竹嶋 康弘福岡県医師会会長
寺本 清(株)福岡銀行取締役頭取
箱島 信一朝日新聞社代表取締役社長
藤井 龍子前内閣府情報公開審査会委員
山崎 広太郎福岡市長



学士総代答辞を行う長谷川茂雄さん(右)
 三月二十五日(木)、平成十五年度学位記授与式が、創立五十周年記念講堂で催されました。昨年までは、学士と修士合同の卒 業式と、博士の学位記授与式に分けて行われていましたが、今年からは、学士学位記授与式と修士・博士学位 記授与式とに分けて、家族などの列席を得て行われました。
 学士学位記授与式で、梶山総長は、各学部長とともに各学部の代表に学位記を授与した後、告辞として、 「常日頃から自分独自の意見を持つ訓練を怠らず、それを独創性や創造性に結びつける努力を」「現代の和とは、 国民が個人の考えを主張し、政治主導でなくその総意として結論を導くこと。皆さんのような若い人た ちがその原動力となるべきで、現在世界で行われている政治的、軍事的行為に意見を主張することは、和と人 間愛を理解する人間として当然の行為」と述べました。
 これに対して薬学部の長谷川茂雄さんが学士総代答辞として、「常に既成概念にとらわれることなく、自由 な発想を持って、物事の真理を見極めていきたい」と述べました。
 また今回は、近藤秋男全日本空輸(株)最高顧問・法学部東京同窓会会長(昭和二十九年法学部卒)が来賓 として挨拶し、「良い意味のエリート意識を持って、目標を高く掲げよ」「人間性を高め判断力を磨け」「全て に前向きな発想で事に当たれ」と、新たなステージに向かう後輩たちを激励しました。

 九州大学の入学者選抜は、平成十五年十月四日の「二十一世紀プログ ラム」第一次選抜から、平成十六年三月十二日の個別学力検査後期日 程まで行われ、二千八百三名が合格しました。
 芸術工学部が誕生して初めてとなった今年は、個別学力検査による 女子の合格者数が過去十年間で最高になりました。
 合格者内訳は次のとおりです。

●個別学力検査(前期日程)二、一三九
●個別学力検査(後期日程)四四五
●推薦入学(芸術工学部)
●AO選抜(二十一世紀プログラムを含む)一六六
●帰国子女
●私費外国人留学生五二
●計二、八〇八


3月8日(月)、50周年記念講堂前で行われた前期日程合格発表風景

 桜が満開の四月七日(水)、法人化後初となる平成十六年度入学式が、市内マリンメッセ福岡において開催されました。
 式は、九州交響楽団の吉浦勝喜氏の指揮、九大フィルハーモニーオーケストラ及び九州芸術工 科大学フィルハーモニー管弦楽団の演奏による、ワーグナー作曲「ニュルンベルグのマイスタージ ンガー前奏曲」で幕を開けました。
 新入生二、六九一名とその家族など合わせて約五千名の列席者を前に、梶山千里 総長は、「自律的に行動できる若者に」と題して告辞を述べました。 続いて、経済学部の内田憲吾(うちだけんご)君が新入生総代として「自立の精神を 重んじ学術を究めると共に自ら人格の陶冶につとめ社会の期待に 沿うことを誓います」と誓詞を朗読しました。
 また今回は、大学間交流協定校であるソウル大学校のCHUNG Un-Chan (チョン ウンチャン)総長が来賓として挨拶し、「開かれた心を持つ世界人であ れ」「韓日両国の若者、ことにソウル大学生と九州大学生にとって、 共生の徳を持って、新しいアジア史、世界史を創ることは時代的使命である」と祝辞を述べました。

■総長告辞要旨

皆さんが九州大学に入学した目的が何であるか、真剣に考えてください。いくら良い教育を 受けても、それを理解し、個性ある考え方として展開し、独創性・創造性を身に付ける努力を しなければ意味はありません。
九州大学には世界中から集まってきた千二百名近い留学生がいます。外国からの留学生と 積極的に交流し、意見を交換し、多くの友人を作って、地球上には、単純に統一したり、規格 化したり、枠に嵌め込んだりできない価値観、人間観、宗教観のあることを理解してください。
大学は、将来の夢や目標を自分自身で設定し、それを実現する場です。自分自身で考え行動 する貪欲な学生が、専門性、社会性、国際性、人間性を身に付けることができる仕掛けを、様々 な場に作っていますし、そのような学生を、教職員は喜んで支援します。
九州大学の学生という誇りを持ち、何事にも自分の意見を持ち、積極的、建設的な行動の取 れる社会人としても成長することを願っています。


 桜は満開でも花冷えとなった四月五日(月)午後四時半頃。六本松キャンパ スに向かう道路に、赤褌(ふんどし)やパンツのみ身に付けて行進する一軍が 現れ、知る人ぞ知る「九州大学田島寮」の新入生によるパンツ投げ(パンツ行進) が始まろうとしていました。
 一行は、沈黙してゆるゆると歩いていたかと思うと突然雄叫びをあげたり しながら六本松地区本館前へ整列。寮歌と逍遙歌を吟じた後、やお ら履いていた純白のパンツを脱ぎ、挨拶に立った森茂太郎言語 文化研究院長に向かって投げつけました。この後全員で土下 座して「こんな私どもですがどうぞよろしくお願いいたします」と深々 と一礼して、またゆるゆると田島寮へ引き上げました。
 勢い水を掛けてくださった別府商店街の皆様、差し入れしてくださった沿 道の皆様、六本松の教職員、学生の皆さん、ご協力ありがとうございました。六 月に行われる恒例の「寮祭樽神輿(たるみこし)」も、またぜひよろしくお願 いいたします。


 四月九日(金)、平成十六年四月一日に誕生した九州大学法科大学院(大学 院法務学府 ロースクール)の第一回入学式が、新築された法科大学院棟で催されました。
 新入生百名を前に梶山総長は、「多くの方々のご尽力で九州大学法科大学 院が設置されたことを喜びたい。皆さんには九州大学ロースクールでの二、三年間に、人間性、社会性、国際 性と倫理観を身に付け、最近おかしなことが多い世の中を正していただきたい」と挨拶。大出法科大学院長 は、「社会生活上の医師となって、法律専門家のサポートを社会の隅々まで いきわたらせるという国家的要請にこたえてほしい」と述べました。
 これに対して新入生代表の中村玲子さんは、「様々な背景を持つ私たち百名 がともに学ぶことで、論理的な正しさだけでは処し切れない事案に向かうた めに必要な、人としての豊かさや多角的な物の見方を身に付けられるでしょう」と抱負を述べました。
挨拶する新入生代表の中村玲子さん


開催挨拶をする三戸幹事(経済学部事務長)
 九大・糸島会の第四回地域資源再発見塾が糸島地区一市二町(前原市、志摩町及び二丈町)在住の地域住民を対 象に平成十六年三月二十七日(土)と二十八日(日)の二日間、前原市中央公民館で行われました。
 一日目は『空を学ぼう(オーロラと宙空天気)』をテーマに、九州大学宙空環境研究センター長の湯元清文教授が 地球の磁場の影響でオーロラは北極と南極にしか発生しないこと、太陽の自転は二十七日であること、さらに大気 圏と圏外の宇宙の天気などをパソコンによるスクリーン映像で参加者にわかりやすく講演しました。
 この講演の後、総合研究博物館の松隈明彦教授が糸島地域に生息する陸貝のプリントを配って、『陸にすむ貝を 探そう』という講演を行い、最後に地元の植物研究家である平野照美さんが糸島地域に以前繁殖していた植物で現 在は希少になってきているという種類の紹介をパソコンやOHPを用いて行いました(一日目の参加者三十名)。
 二日目は『植物のふしぎ発見』をテーマに、「植物観察の基礎」と題して、総合研究博物館の三島美佐子助手に よる樹形、葉脈、葉の形態などを類型化した講演があった後、植物細密画入門として、地元植物細密画家の佐藤 眞由美さんによるボタニカルアート(botanical art)の自作展示とこのアートの説明、さらに葉 の形態や葉脈を細密に描く実習(参加者十名)がありました。


中野副学長(右)と語る
 平成十五年度九州大学留学生歓送会が、三月十二日(金)十八時から福岡リーセン トホテルで開催されました。
 今年三月に修了(卒業)し、本学における勉学、研究を終えた留学生は百九十一名でした。
 当日は、福岡市の国際交流担当者、(財)福岡国際交流協会等の留学生支援機関・団体の 来賓を初め指導教官を含め約二百名の参加がありました。
 初めに、中野副学長から、「留学生の皆さんには、今後の益々の御活躍を期待しますとと もに、母国と日本及び九州大学との架け橋になっていただきたい。」との挨拶があり、修了 留学生を代表して、医学系学府博士課程四年生の中国からの留学生・李洋さんが、 「先生方のおかげで学問のみならず多くの貴重な体験をし、実り多い留学生活でした。帰国後は母国 と日本の理解を深め、よりよい友好関係を築けるよう貢献していきたいと思います。」と挨拶しました。
 引き続き、柳原総長特別補佐(現理事)の発声で乾杯をし、和やかに懇談が行われました。

 三月二日(火)、平成十五年度第二回運営諮問会議が開催されました。
 今回のテーマは「法人化後の九州大学に期待するもの」。
 まず梶山総長が、法人化の趣旨や組織運営と、「教育」「研究」「社会貢献」「国際交 流」の各分野で九州大学が何を目指し何をしようとしているかなどを説明しました。
 これに対し各委員からは次のような、温かくも厳しい意見や提言が出されました。

○法人化後は学生を大切にすることが大きな鍵になる
○九大のブランド力を高めるために何を重点化すべきか考えよ
○舵取りに総長の強力なリーダーシップが必要だ
○外部資金獲得をより明確に推進すべきだ
○事務のレベルアップとスリム化を
○九州の産学官の共同歩調をリードしてほしい

 九州大学大学院薬学研究院では、アジアの薬学研究を活性化 するとともに、薬学教育のグローバリゼーションを推進し、世 界に通用する薬学研究・教育をアジアから発信するための第一歩として、第一回アジア薬 学シンポジウムを、一月三十日(金)及び三十一日(土)に本学病院地区にある百年講 堂において開催しました。
 今回は、アジアを代表する十大学(中国四、韓国三、タイ二、インド一)にハンガリーの一 大学を加えた十一大学から約三十名、本研究院から教職員・学生二百名の参加を得、姫野元薬学研究院長、Woo Sik Choi 釜山大学校薬学大学長の開会挨拶に続き、基調講演として井本教授(崇城大学)が「An Age of Proteins: How to Utilize Proteins」という演題によりタンパク質の安定性と折 り畳みの関係を解りやすく解説され、参加者の関心を集めました。その他招待講演と して植物化学、有機化学、生命科学等薬学らしく多岐の分野にわたる計十六件の研究発 表が行われ、いずれの発表に対しても大学院生を含む多数の参加者による活発な議論 がなされました。
 また、アジアの国々からの参加者に向けた薬学部の各専攻分野の研究紹介は非常に 好評でした。さらに、本学梶山総長を迎えた懇談会では、アジア各国の大学長(薬学部長) 等と和やかに懇談や情報交換が行われ、盛会の内に幕を閉じました。次回は二年ある いは三年後に本学薬学研究院で再び開催される予定です。
第1回アジア薬学シンポジウムの外国人参加者(ハンガリー・インド・タイ・中国・韓国)と薬学研究院スタッフ


表彰状を受けるMy Challengeチーム


ヒューマノイドロボット開発チームと
ヒューマノイド型ロボットのデモンストレーション
 C&C(チャレンジ・アンド・クリエイション・プロジェクト)は、九州大学の院生や学生が自ら企画するユニークな研究・調査プロ ジェクトをサポートする全学事業です。毎年、採択された十件程度のプロジェクトに助成金や研究施設が提 供されており、成果発表で特に優秀と認められたものは総長から表彰されます。
 四月二十八日(火)、C&C2003の総長賞の表彰が総長室で行われました。梶山 総長は各チームに表彰状と記念品を授与し、「これからの活動の進展に期待する」と 激励。各チームは、活動内容の説明やロボットのデモンストレーションを行いました。
 表彰されたプロジェクトと出席者は次のとおりです。

◎最優秀賞
 ボランティアの風を九大から地域へ世界へ
 〜My Challengeチーム
 重光 亨
  (工学府機械科学専攻博士後期課程一年)
 岩田 基範
  (システム情報科学府知能システム学専攻修士二年)
◎優秀賞
 ドア開閉・階段昇降が可能な
 ヒューマノイド型ロボットの開発チーム
 古賀 俊亘
  (工学府知能機械システム専攻修士二年)
 網野 梓
  (工学府機械科学専攻修士二年)

※My Challengeについては、「九大広報」三十四号で紹介しています。


前のページ ページTOPへ 次のページ
インデックスへ