総長あいさつ
移転が完了すれば、東西約3km、南北約2.5km、総面積約275ha という広大な用地に、文系、理学系、工学系、農学系や運動施設、農場、そしてかねてからの念願であった全学教育も同居することになります。有名建築家も加わってマスタープランや各地区の基本設計が決められ、さらに多くの方々の叡智によって景観や利便性に配慮した人間味豊かな計画やデザインがなされています。 伊都キャンパスはまた、IC カードや水素エネルギーを使った社会実現のための実証実験の場、地域や国家プロジェクトのセンターとしても利用されようとしています。平成10 年5 月に、福岡県、福岡市、九州・山口経済連合会そして九州大学を中心に「九州大学学術研究都市推進協議会」が設置されて、キャンパスを核とした学術研究都市構想がスタートしました。平成16 年10月には「(財)九州大学学術研究都市推進機構」が設立され、構想は実現に向けて具体的に動き始めています。 伊都キャンパスがこれからどのようなキャンパスになるかは、日本の高等教育が今後どう変わるかを考える必要があります。近い将来、学生は自宅や図書館など教室外で授業を受けることができるようになるでしょうし、それ故に、キャンパスの機能は大きく変わる可能性があります。 これからの大学キャンパスは、従来までの教育や研究の場、学生が生活する場という機能に、様々な人々が集まるコミュニケーションの場など、多様な機能を加えていかなくてはなりません。伊都キャンパスは、国内外の研究者たちがキャンパス内に宿泊して参加する国際会議など大イベントの舞台としなければなりませんし、市民の方々が図書館や博物館を訪れて公開講座や演劇、コンサートを楽しみ、スポーツ施設で汗を流す、知的生活の一部として利用していただける場としなければなりません。 移転が完了し落ち着くまでは一定の時間が必要です。造成工事や建物工事もまだまだ続きます。関係各位、九州大学に関心をお持ちの全ての皆様には、今後いっそうのご理解ご支援をいただきたいと存じます。 また、伊都キャンパスの地元の皆様には、引き続き工事へのご理解と、皆様の一員となる学生、教職員との末永いおつきあいをお願い申し上げます。
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