主要新聞での
九大関連記事掲載の現状と
効果について

総長特別補佐(広報戦略担当)
経済学研究院助教授

高田 仁



 九州大学の活動は、毎日のように新聞各紙で取り上げられていますが、具体的にどのような内容の記事がどの程度掲載されているか、これまで精緻に調査を行ったことはありませんでした。従って、広報戦略の立案に必要な基礎データを得るという目的で、平成17年度の主要新聞紙上で取り上げられた九大関連記事について分析を行いましたので、その概要を報告致します。

調査の概要は下記の通りです。

・対象期間: 平成17年度(2005年4月〜2006年3月)
・対象新聞: 朝日、読売、毎日、日経、日刊工業、西日本 の計6紙
・対象記事: 「九大広報」末尾の記事リスト掲載分

 記事の内容から、記事に関連が深い部局を特定し、部局と掲載頻度の相関を把握しました。また、実際の記事の面積をひとつずつ測定し、広告費換算することにより、記事の経済的価値を推測しました。

調査対象である「九大広報」末尾の記事リストは、九大関連記事を全て正確に網羅したものではない。
広告費換算は、いくつかの新聞に対して口頭調査し、その結果を踏まえて全国版=15千円/cm2、地方版=3.5千円/cm2と仮定。


特徴@:年間に約750回の記事掲載

 分析結果ですが、九大関連記事の総掲載回数は1年間で749回に達しています。部局別で見ると、全学関連が全体の21%(新キャンパスや学生等に関する記事を除く)、次いで医学研究院(病院含む)が17%、新キャンパス関連が15%、工学研究院及び理学研究院が6%、知財本部が5%の順でした。

 なお、工学研究院の記事では水素関連の記事の掲載比率が高くなっており、また、理学研究院では、平成17年3月に発生した福岡西方沖地震に関連した記事が多数を占めています。



特徴A:約10億円の広告費に相当

 一方、広告費換算ですが、年間を通じた新聞記事は、何と総額9億6千万円相当の経済的価値を持ちます。通常、民間企業がブランディングや販売促進目的で莫大な費用をかけて新聞紙上に広告掲載することを考えると、九大が約10億円分もの紙面を記事に割いてもらえるのは、恵まれた状況といえるかも知れません。



特徴B:全国版掲載率の低さが課題

 一方で、全国版掲載率の低さは大きな課題であり、記事全体の15%にとどまっています。近年、全国区での九大の知名度やブランドの低下を問題視する声を多数耳にしますが、全国版への記事掲載率の低さはこれを実態として示しているのかも知れません。

 以上、九大関連記事の掲載状況について簡単にご報告致しましたが、マスコミへの積極的な情報発信が、九大のブランド形成ならびに隠れた経済効果として大きな影響を持つことをご理解頂けたことと思います。今後は、本調査を継続すると共に、分析結果を広報戦略の立案に活かして参ります。

(たかためぐみ)




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