江西医学院(中国)
協定大学紹介 医学研究院教授 寺田義博

 九州大学歯学部の部局間交流協定校である 中国江西省南昌市にある江西医学院口腔医学系について紹介する。 まず,江西省は長江中,下流の南岸に位置し,全省の総面積は16万6900km平方で, 人口は3771万人である。鉱物資源は豊富であり, 世界的に有名な「磁器の都」景徳鎮はすでに1000 年以上の歴史がある。 南昌市は江西省の北部にあり,人口111万人の江西省の省都であり, 中国の名高い歴史文化の都市である。江西省は要塞の地に位置しているため, 昔から兵家が必ず争う地になってきた。1927年8月1日, 周恩来をリーダーとする中国共産党前敵委員会はここで武装蜂起を指導した。 中国人民解放軍はこの時から生まれたのである。

 江西医学院は1921年に創立され,現在は江西省の医学教育,科学研究,医療, 情報の中心となっている。江西医学院は現在臨床医学系,口腔医学系,医学画像診断系, 予防医学系と看護学系が設置されている。大学の専門スタッフが3000人あまりで, その内教授は257人,助教授は400人である。在学学生は8000人で, その内大学院生は200人,学部生4000人,社会人学生3800人がいる。

 江西医学院付属口腔病院は江西省内唯一の三級甲等級レベルの口腔専門病院である。 江西医学院口腔医学系はこの付属口腔病院と院系一体化の体制を取り, 1982年から口腔医学系が正式に学部生を募集し, 1987年から更に修士レベルの大学院生の募集を始めた。 病院には口腔内科,口腔顎顔面外科,修復科,矯正科,予防科,インプラントセンター, 麻酔科及び手術室など20の業務科が設置されている。 病院内にはアメリカ,日本などから輸入したポーセリン焼き付け機,鋳造機,義歯注塑機, コンピューター制御パノラマレントゲン,麻酔機,医療用総合ユニットなどの 先進設備が設置されており,デンタルチェアーは84台, 口腔顎顔面外科では40床の病床を開設している。現在教授及び助教授は12人,講師は69人がいる。 省内ではポーセリンの焼き付け,口腔内インプラントなどの高度技術の展開をリードしている。

 九州大学歯学部と江西医学院口腔医学系との部局間交流協定は1987年11月11日に締結された。 江西医学院の第5代院長の孟憲蓋先生は九州大学医学部の卒業であり, 九州大学医学部との関係が深く,当歯学部との交流のきっかけは, 医学部間の交流から派生したものである。実質的な交流は1988年から始まり,その後毎年, 本学部から2名程度の教授等の派遣を行い, 江西医学院からは本学部の国際交流基金により若手研究者を招聘している。 さらに,江西医学院側からは例年の如く, 副院長(副学長)や教授,助教授クラスによる九州大学訪問が行われている。 従って,本学部が交流関係を有するアジアの4大学の中でも,江西医学院は最も熱心で, 交流も深い関係が続いている協定校である。

 江西医学院のある江西省南昌市は,1995年と4年後の1999年の訪問時を比較すると, かなり近代化が進んだように感じられる。具体的には高速道路の建設が進み, 車がかなり増えたようである。しかし,自転車は相変わらず多く,中国の人口の多さを実感した。 訪問時の経由地でもある上海と比較するとまだまだこれからという気はするが, 今後の発展が期待できると思われるので,我々としてもできるだけの協力をして, 今後の両校間の交流関係をさらに発展させたいと願っている。

(てらだ よしひろ 歯科補綴学)

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