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九州大学総合研究博物館

1.  九州大学総合研究博物館

総合研究博物館長
湯川 淳一


   杉岡総長はじめ,大学内外の多くの方々のご尽力とご支援のおかげで,待望の九州大学総合研究博物館が4 月1 日にオープンし,活動を開始いたしました。

博物館の組織

    博物館には,現在,研究部と事務部があります。研究部には7人の専任教官がおり,一次資料研究系,分析技術開発系,開示研究系という三つの研究室に分かれています。近い将来には,博物館以外の研究室から兼任教官のご協力を得て,資料部やフィールド・ミュージアム部などを作りたいと考えています。

博物館の活動

   九州大学は,これまでの様々な研究で蓄積された膨大な数の標本や資料を持っています。しかし,これらの貴重な標本や資料が個々の学部や研究室などに分散しているため,外部からはそれらの所在が明らかではなく,教育や研究に利用しにくい状態になっています。そこで,学内の標本や資料を一元化して保存・管理を行い,学内外の誰もが教育や研究に利用しやすい状態にする必要があります。また,九州大学総合研究博物館は研究成果の展示・公開など様々な博物館活動を通じて,外部に開かれた大学の先頭に立って,学外の人々との交流を深めたいと願っています。
   上記の目標を達成するために,私たちは次のようなことを考えています。
個々の学部や研究室などに分散している標本や資料の実態を把握するために,アンケート調査を行い,現在,分析中です。この調査結果を参考にしながら,今後の博物館の運営や活動を考えていきます。
国内外で,標本や資料の新たな調査・収集活動を行い,博物館の標本や資料をさらに充実させます。
標本や資料を長期間安全に保存する方法や,痛んだ標本の修復法などを研究するとともに,個々の研究室にある標本・資料の保管業務を支援します。
標本や資料の有効な分析・活用法を研究し,今後の様々な研究を支援します。
研究成果を,学外の人々に分かりやすく伝える方法を研究します。標本の画像表示の方法なども研究します。
標本や資料の情報を順次データベース化し,インターネットでもアクセスできるようにしていきます。また,データベース化に当たっては,他大学の博物館との互換性を持たせるために,その方法を共同で考えていきます。
学芸員の資格取得に必要な講義や実習を,できるだけ学内で行えるようにします。
国内外の博物館と連絡を緊密にし,情報や標本の交換,人の交流を図ります。
この他にも,博物館として必要な活動を積極的に行います。

標本

研究成果の展示・公開

   研究成果の展示・公開はどの博物館でも行われる基本的な活動の一つです。九州大学総合研究博物館が発足するまでは,先行展示として,九州大学と福岡市立博物館とが共催で,次のような公開展示を行いました。

第1 回 「倭人の形成」
平成9 年6 月 於:福岡市立博物館

第2 回 「雲仙普賢岳の噴火とその背景」
平成10 年6 月 於:アクロス福岡

第3 回 「寄生虫学の展開と医の文化」
平成11 年6 〜7 月 於:福岡市立博物館

   また,第4 回目に当たる「森・水・人」は,農学部演習林の全面的なご協力を得て,本年5 〜6 月に福岡市立博物館で開催しました。今後も,福岡市立博物館のご協力を得て,毎年,テーマを変えて研究成果の展示・発表を行います。また,創立五十周年記念講堂内にも常設展示場を設けます。

森・水・人

博物館の新しい建物

   九州大学は元岡地区への移転を控えているため,博物館の新しい建物ができるのはしばらく先のことになります。それまでは,箱崎キャンパスの建物の一部に仮住まいをしています。新しい博物館は,元岡地区の中心的な建物となることが予想されます。そのために,展示室,標本収蔵庫,研究室,事務室などのバランスのとれた配置はもちろんのこと,建物の外観や中身にも九州大学の際だった特徴を持たせたいと考えています。

応援のお願い

   このように九州大学総合研究博物館は,これから様々な事業や研究に取り組んで参ります。そこで,学芸員の資格取得や博物館業務に関心をお持ちの方々,すでに学芸員の資格をお持ちの方々,これまでの豊富なご経験をお持ちのOB の方々などのボランティア活動を大いに歓迎します。新しくできた九州大学総合研究博物館を,ぜひ,応援して下さるようお願いいたします。

(ゆかわ じゅんいち 昆虫分類学)

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