PART2
システム製作会社取締役の九大生から

法学部4 年 田中康道(たなか やすみち)
理学部4 年 宮本 哲(みやもと さとる)

この度九州大学において、有限会社ウェブファクトリーが提供する「CLAS!(Campus Life Assist System)」サービスが始まりました。「CLAS!」は最新のIT技術を用いた情報通信システムです。学校から学生への連絡方法を従来の掲示板から携帯電話へと転換するとともに、連絡だけにとどまらない新たなコミュニケーションの場を創造します。
今回九州大学で共同研究のもとサービスを行うに当たり、有限会社ウェブファクトリーに取締役として参加する我々、田中康道と宮本哲に、「九大広報」で発言するチャンスをいただけるということで喜んでいます。我々のこのシステムに対する思いやこれまでの経緯などを二人で話してみました。

出会い

田中
(以下 T ):
「僕たちっていつからの知り合いだっけ?」
宮本
(以下 M ):
「えっと〜いつやったっけ?たしか1 年の時の,(注1)ディスカッション能力の形成っていう授業やったよね。」
T:「あの授業,勉強になったよね。あの時に一つの事を深く議論する習慣がついたのかもね。今に役立ってる?」
M:「毎回話し合いを録音して,紙に書いてくるの大変やった〜。でもそれも含めて,人とアツイ話をするのってすごく楽しいって気づいたよ。やっぱ,役立ってんじゃない。」
T:「しばらくはたまに話をするくらいだったのに,3 年の秋かなぁ。いろいろと将来の話とかして刺激を受けたのは。」
M:「なんか将来の話とか言うと重たく感じるけど,田中君のビジョンには大いに刺激をうけたよ。普通に大学院にいって研究者になるつもりだったけど,起業家もありだなと思うように洗脳された 気がする。(笑)」
T:「ビジョンって言うほどたいそうなものじゃなかったでしょ〜。変り者だから他の人と違うことがしたいと思ってるだけ。自分で何か新しいビジネスを生み出すのって楽しそうかなってね。」

ウェブファクトリーに関わるきっかけ

T:「でも,自分はパソコンも持ってないようなアナログ人間だったし流行のIT とは別の方向を向いていたかもね。」
M:「僕はパソコン好きだったけど,普通のユーザーレベル。これといって特別な能力があるわけじゃなかった。そんなとき小野寺さんに声かけられたんでしょ。田中君は。
T:「そうそう。携帯電話のシステム作ってるみたいだったけど,今度大学向けのシステム作るから学生の意見も聞きたいって言われたんだ。自分も興味あったけどこの話は宮本君も参加してもらえばきっとおもしろいことになるぞ,と思ってね。」
M:「まだあの時は,今の自分なんて想像できんかったね。そのときは小野寺さんもこうなることは想像できなかったんじゃない?」
T:「そうかもね。」

代表小野寺隆について

T:「九大経済学部の卒業生で僕らの先輩にあたるわけだけど,小 野寺さんって宮本君としてはどういうイメージの人?僕は,(注2 )九州大学ベンチャー・ビジネス・ラボトリーの『起業家よる塾』で前から面識あったんだけど・・・。」
M:「いや,最初あったときは正直言って怖かったよ。顔は西郷隆盛に似てたし…。まぁでも実は寂しがりやみたいやね〜。」
T:「寂しがりやっていうか,情の厚い人だと思うよ。僕の見方としてはちっちゃい話しない人かな。目先のことにとらわれず,長期的なものの見方のできる人だと思うね。日本の将来を心配してて教育に関心があるよね。」
M:「それは持ち上げすぎかもね。(笑)でも,そういう思いもあってこの『CLAS !』というシステムには特別な気持ちがこもってるんだろうね。」

「CLAS !」について

T:「でも,『CLAS !』に関しては僕達学生の意見をかなり取り入れたよ。」
M:「やっぱり誰のためのシステムかといえば,学生のためのシステムだからね。」
T:「使いやすさ・パケット通信料にはいつも気を使ったからね。いかに自分の必要な情報だけを取り出せるようにするか,は最大のテーマだった。九州大学にとどまらず日本中いや世界中の学生に愛されるシステムを目指してバージョンアップをしていこうよ!!」
M:「そうだね。僕らの強みはCLAS !を技術者の自己満足ではない,ユーザーサイドに立った本当に使いやすいシステムに高めてきたことだし,これからも,スタンスを変えないでブラッシュアップしていけるノウハウを持っていることだと思うよ。」
T:「やっぱり学生が使うシステムでDoCoMo だけとかAU だけとかJ- phone だけなんていうものは僕たちは許せないもんね。」
M:「ん〜,学生に何かを強いるシステムはよくないよね,やっぱり。その点はCLAS !でもすごく気にしたことで,PC でも利用できるようになってるよ。メインはやっぱり携帯電話だけど,持ってないからってサービスが受けられないというのはおかしいもんね。」

ウェブファクトリーに参加してよかったこと

T:「ところで宮本君は僕に洗脳されたって言ってたけど,小野寺さんと打ち合わせを始めて約1 年,ウェブファクトリーを設立してもうすぐ半年になるけど…,どう?ウェブファクトリーに毎日来てるメリットってある?」
M:「メリットか〜。とりあえず,今すごく忙しくて,そこまであまり考えてなかったな〜。でも,この会社にいさせてもらって得たものっていうのは他に換えがたいものがあるよ。それは仕事をすることの楽しさでもあるし,もちろん苦しさでもあるよ。普通に就職するよりも,それを強く感じている気はしてる。」
T:「僕たちは曲がりなりにも経営陣側に立ってるわけで,会社の方針にタッチできるからね。人の決めた方針の下で働くのは楽だけど,自分の決めた方針の下で働けるのはもっと楽しいことだと僕は思うね。」

我々の将来像

M:「じゃ,やっぱり田中君は自分で経営できるのが理想?」
T:「それはもう少し考えさせてよ。ウェブファクトリーに参加したことで起業することの苦しさもかなり勉強させてもらえてるからね。ベンチャーベンチャーってブームみたいに言うけどそんな甘いものではないことはよく分かったよ。しばらくは改めて自分を見つめ直したいよ。まぁ,答えは明日出るかもしれないくらい目まぐるしく変化する世の中だけどね。(笑)ところで宮本君はどうなの?」
M:「僕は自分が経営者には向いていないと思ってる。でも,それで経営者の視点を勉強する機会を逃すつもりはない。今やっていることは,まさに幅広い視野を持ちたいという部分を担っているのかも知れないね。」
T:「なんだか,取締役がすぐに辞めていきそうな会社だね。(笑)でも小野寺さんはいつまでも自分の下で働け,とは思ってないことがすばらしいよね。『次に宮本君が作る会社では宮本君の下で働く』とか言うでしょ。」
M:「どこまで本当かは分からないけどね。(笑)確かに小野寺さんは好きだけど,僕は小野寺さんじゃないし,小野寺さんも僕じゃない。だからいずれ方向がずれる日だって来ると思う。そのときにいい関係を維持してお互いがさらに向上できたらいいね。」

最後に

T:「逆に僕たちも後輩たちにそういう接し方がしたいね。というか先輩とか後輩とかいう関係じゃなくプロジェクト単位とかで責任者が交代するようなスタイルがいいんじゃないかな。あ〜。でも僕たちのやってることを見て,そういう生き方もあるかもしれないと思っくれる人が増えれば,日本は楽しい国になるんじゃない?」
M:「アメリカでは優秀な学生は大企業に就職するのではなくて,自分で起業するらしいからね。もちろん僕たちはそんなに優秀なわけじゃないけど,高いモチベーションを維持して仕事を続けていきたいね。」
2000 年10 月12 日 ウェブファクトリー事務所にて

(注1 )「ディスカッション能力の形成」:1997 年度前期九州大学一般教養課程周辺教養科目として開講されていた講義。数人で毎回ディスカッションを行い,その内容をカセットテープに録音して後からレポートにして提出するという作業を行った。その結果を分析し,ディスカッション能力の向上に努めた。
(注2 )「起業家よる塾」:起業家並びに起業家を目指す人間が集まり,談論し,交流し,連携し,触発しあうアクティブな場。「よる」(夜)は「寄る」「拠る」の意味を引っかけている。塾は全くオープンな形で運営されており,ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー助教授の坂口光一氏が世話役としてコーディネートを行っている。毎月第4 金曜日19 :00 〜ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー3F にて。大きな狙いは,九大のなかに現役学生,OB ,教師,起業家,サポーターなどが自由に交流できるサロンを開設し,起業家もしくは起業家を目指す人たちの共同の足場をつくっていくこと。「起業家はネットワークせずにはおられない」が行動原理。
九州大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー http://www.vbl.kyushu-u.ac.jp

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