二、「分担」制度を活用した新学府・新専攻の設置
専担・兼担と協力
新しい教育研究システムを導入してすでに
二年目を迎え、新たな組織編成への動きが活
発化するとともに、システムの運用にあたって
の考え方を整理する必要が生じました。そ
れは、既存の教育研究組織を継続したため、
ほとんどの学府・研究院の関係が一対一とな
っていますが、これをどのような組織編成原
理で柔軟化していくのか、また、複数の研究院
に所属する教官が学内共同教育研究施設を
担当する場合、当該教官が労働過重になら
ないような措置をとる必要があるのではない
か、という点に集約されています。
まず、研究院に所属する教官の学府(Graduate
School)、学部(Undergraduate School)担当
の在り方について整理する必要があります。
大学院の「研究組織」である研究院に所
属する教官が特定の学部を担当する場合、
本務としての学府以外に兼ねて担当するこ
とから「兼担教官」と呼び、本務の学府のみ
を担当する場合を「専担教官」と呼びます
(第2 図)。
大学院重点化が完了した時
点での研究院所属教官のほとんどは学部「兼
担教官」であり、「専担教官」の比率は研究
院によって異なるものの、全体で約十七%に
とどまっています。また、応用力学、機能物質
科学および生体防御医学研究所の三つの附
置研究所と情報基盤センター、健康科学セン
ターおよび多くの学内共同教育研究施設に
所属する教官が特定の学府を担当する場合、
これを「協力教官」と呼んでいます(
第2 図
)。こうした呼称は、全国の国立大学で共
通に使用されているものです。
主担・分担と重担
ところで、学府・研究院制度が導入され、学
府と研究院組織の関係がより柔軟に編成する
ことができることになった九州大学においては、
研究院所属教官の学府担当の在り方について、
独自の呼称をつける必要が生じました。多くの
学府と研究院が、さきに指摘した理由で一対一
に対応しているもとで、特定の研究院所属教
官がこれと対応している学府の担当責任教官
(学生定員の根拠となる教官)となる場合、「主
担教官」と呼ぶことにします。多くの教官がな
んらかの学府の「主担教官」となっています。他
方、対応する学府と異なる学府の担当責任教
官となっている場合、これを「分担教官」と呼ぶ
ことにします(
第2 図1 〜3 )。
先に設置された医学系学府の医療経営・管
理学専攻においては、医学研究院に所属する
十七名の教官が「主担教官」で、人間環境学、
法学、経済学、薬学の各研究院に所属する四
名の教官が「分担教官」、健康科学センターに
所属する一名の教官が「協力教官」となります。