馬車馬のように勉学に励め

池田 紘一

文学部長
 大学は何をするところか、勉強するところである。これをないがしろにしたら学生である意味はない。世の流行や通念に惑わされるな。まわりの雰囲気に迎合するな。勉強することに誇りを持て。怠けたときは恥ずかしいと思え。
 
 高村光太郎の「冬の詩」にはこうある。「土工よ、人足よ、職工よ/汗水を流して、大地に仕事をし、家を建て、機械を動かす天晴れの勇者よ/汝の力をふりしぼれ、汝の仕事を信仰しろ……馬車馬のやうに勉強する学生よ/学問と角力をとれ」。
 
 大学で勉強できるのは親のおかげだということを片時も忘れるな。国民の血税のおかげだということ忘れるな。その上で、自らの関心と責任において、自らの探求したいものを粘り強く探求せよ。書物にあたって調べよ。友と対話せよ。遠慮なく教師に問いを投げかけよ。そして時々休息せよ。書を棄てて街に出よ。そしてまた、馬車馬のように勉学に精を出せ。
(いけだ こういち 独文学)

「開かれた心」を

望田 研吾

教育学部長
 新入生の皆さん、入学おめでとう。二十一世紀最初の年は、この世紀の行く末を象徴するかのように激動の波に洗われました。加えて、グローバリゼーションや情報化社会のさらなる進展は、学校、大学を含めたわが国のさまざまなシステムの揺らぎを加速させています。こうした中で、教育にかかわっても学級崩壊や、青少年の心の閉塞感などの問題が深刻化しています。皆さんはこれから教育学部で、こうした問題の解決に向けて主体的、創造的に取り組んでいくための知識、スキルを学んでいくことになります。
 大学での学びの基本はあくまで自主性が基本です。自ら積極的に学び、行動することが皆さんには特に求められています。ただ、人間に直接かかわる専門を中心とする教育学部で学び二十一世紀を生きていく皆さんにとって、それ以上に大切なのは「開かれた心」を持つことです。自分とは異質なもの、とりわけ異文化への「開かれた心」です。「共生」は二十一世紀の最も重要なキーワードです。「共生」は「開かれた心」によってこそ生みだされるのです。若い柔軟な心を、人そして世界に開いて、充実した学びの時を持つことができるように願っています。
(もちだ けんご 比較教育学)

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