あるのですから、一生やりたいものを、 しっかりと使命感を持ってつかんでもら いたいと思います。そうすれば、給料や 会社のランク付けなどに惑わされず、社 会人として充実したスタートが切れるの ではないでしょうか。
 私は看護婦としての経験は二年間しか ないのですが、今でも、病で苦しむ人た ちの助けになれる看護という仕事は最高 の仕事だと、こんなすばらしい仕事はな いと思っています。娘がいたら看護の道 に進ませたと思いますし、私自身、生ま れ変わったら看護婦になりたいと、今も 憧れを感じています。

恍次郎社長:学生時代は、私がそうであ ったように、多くの学生は自分が何をし たいのか分からないのだろうと思いま す。しかし天職とは、多くの人にとって は、日の前のものをこれが天職だと自分 で決めて好きになるしかない、そういう ものではないでしょうか。それがまだ無 い学生時代は、純粋であればあるほど苦 しいときです。ならば、これ以上できな いくらいに、勉強、心の葛藤、恋もして、 苦しんだらいい。それらは永遠に解決の つかない問題ですが、それでどこまで苦 しんだかが一生を決する、そんな気がし ます。
 そしてこれは九大生に特に言いたいの ですが、世の中には不本意ながら大学に 行けなかった人が大勢いる。大学を出た らそれらの人の、また社会の役に立つ人 にならないと申し訳ないのではないか。 そういう義務感、責任感、使命感を期待 したいのです。エリートとは、そういう ものではないでしょうか。今は、公の役 に立つべき立場にある人たちが不当に威 張っているところがあります。そういう ところはしっかり考えていないと、社会 は道を聞違えるのではないでしょうか。
 九州大学は、社会や学生に選ばれる大 学であってほしいと思います。商売は、 お客様のことを考え、お客様から選ばれ ないと潰れてしまいます。競争や刺激は 大切で、無くなるかもしれないという恐 怖感がないと、本当のカは出ない。お釈 迦様は、人は皆死ぬというところから出 発して、ではどう生きるかということを 徹底して考えた。いつ潰れるかというこ とを絶えず意識して全力を出さなければ ならないという意味で、中小企業の経営 はそれに似ています。だから面白いので す。

 潰れるまでと継がれた家業に「天職」 を見つけられた社長さん。今も看護婦に 憧れるとおっしゃる副社長さん。博多駅 近くの本社の一室で、副社長さんはかか ってくる注文の電話に対応されつつ、社 長さんは遠方からお帰りになってそのま ま、丁寧にお相手していただきました。 このインタビューでも感じられるお二人 のお人柄とエネルギーも、会社の元気の 大きな要因であるに違いないと思いまし た。


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